自分らしくない決断をしている暇はない。迷ったときは人と違う決断を

――自分らしさとは何ですか。

渡部志保氏:

難しいですね、その質問は。

――自分らしさを求めてずっと来ているわけですよね。

渡部志保氏:

そうですね、求めてはいないですけど。ただ、それ以外は削ぎ落とさないと、人生、自分らしくない決断をしている暇はあまりないと思っていて。一つ一つの小さな結論の集大成が人生じゃないですか。だから、小さなことかもしれないけれど、どう自分とリンクするかとか、自分がどう感じるかとか、そういうことを一つ一つ決めていくというのは大事だなと、今考えると思いますね。

――仕事を経て人生を積み上げながら、自分らしさや長く続けていくものを持つにはどうすればいいのでしょうか。

渡部志保氏:

とりあえずやってみることではないでしょうか。何でも挑戦してみて、できないと凹みますが、できないとわかったこと自体が、結構貴重な発見じゃないですか。

――あまり若いうちに決める必要はないということですか。

渡部志保氏:

割と迷ったときは人と違う決断をするということを心がけていて、部屋に100人友達がいたとしたら85人がしない方を選ぶというのは、ロジックはないんですけど、私結構それをやるんです。

――逆張り?

渡部志保氏:

自分が考え抜かないとユニークな決断ってできないじゃないですか。何も考えないで選ぶと大体、多数決で決めることが多いと思います。自分で考え抜いたちょっとユニークなチョイスをしてみる。キャリアだと競争率も高まりますし、それはおすすめです。みんながやらない方を選んでみようかなというのは自分も時々やります。それが考えることにも繋がると思いますし。

――そっちに行ったらどうなるかなということを考えてみるということですね。

渡部志保氏:

アメリカで生活をしている5歳児の半分以上が100歳まで生きるというリサーチがあって、それって結構すごいことじゃないですか。そうすると、人生100年時代というのが本当にリアルに迫ってくると、100年あれば40歳、50歳まで学校に行き続けて、何らかの形で社会と接点を持ちながら学び、どうやったら100人の中の15人みたいなところになれるかみたいな尖った個性を突き詰めて教育もしていけるんじゃないかなと考えたりします。

――学びから生まれる基準に年齢はないですね。

渡部志保氏:

リセットしながら学んでいくとか、クリエイティビティは違うエリアのものに触れるたびにトゲトゲが増えていくと思うので、違う場所でゼロからスタートできる人生はみんなに与えられるべきじゃないかなと。40歳でキャリアの大転換をしたりという社会になれば、みんな楽しく生産性も高まるんじゃないかなと思います。リスクもありますけど。

――ご自身のこれまでを振り返っていかがでしたか。

渡部志保氏:

一つ一つのことが無駄じゃなかったというか、人生は点と点の集大成というか、点と点を繋いで線になるんだなと思いました。興味があることとか直感で生きてきたタイプではありますが、無駄なことはなかった。頑張り続けることが大事なのかなと思いました。

――唯一無二ともおっしゃいました。自分のオリジナルを見つければ、人のオリジナルも理解できて、認め合うことができる。

渡部志保氏:

皆さん、唯一無二を持っていますから。私もそうですが、きっとそれを探すだけなのかなと思います。

(BS-TBS「Style2030賢者が映す未来」2023年9月17日放送より)