夜には防護柵の中に『シカの群れ』
シカは人の気配がなくなった夜に防護柵の中に侵入して花を食べていくといいます。取材班は、花が咲いている付近にカメラを設置して、夜になるのを待ってみることにしました。すると…。
(記者リポート)
「めっちゃいる…1、2、3、4、5、6…めっちゃいる…。午後11時の伊吹山山頂です。シカの目が光に反応して光っています」
不気味に光るシカの目。防護柵の中をシカの群れが悠々と歩いています。花を食べているようにも見えます。防護策を修理してもすぐに破られて、シカに花を食べられる被害が続いているのです。
金属柵だと噛み切られないが雪の重みで壊れてしまう
取材した日、米原市の職員と専門家らが、設置された防護柵の点検にやってきました。3年前から防護柵が破られないようにロープの柵から金属製の柵に少しずつ取り換える取り組みを行っています。しかし、そこには課題もあるといいます。
(米原市自治環境課 鎌田亜裕美主任)
「雪がたくさん降る伊吹山では、雪の重みでどうしても金属柵が倒れてしまう。そこが難しさです」
金属製の柵はシカに噛み切られることはありませんが、冬場に降った雪の重みで倒壊して、雪解けとともにシカが柵を乗り越えて中へと侵入してしまうというのです。
(京都大学・農学研究科 高柳敦准教授)
「もうちょっと早めに僕が来てるときに自分1人ででも補修しておけば良かったなって。シカの方が一歩早かったですね。向こうも生きるのに必死なので、こちらもしっかりやらないと」
壊れた金属柵は撤去され、また新たな作戦を検討することになりました。
穴が開けられたポリエチレン製の防護柵には、強化繊維やステンレスが入った強化ネットが設置されるなど、現場では試行錯誤が続いています。