温暖化の影響でシカの活動域が山頂へ拡大
一体、何が起きているのか?50年以上、山小屋を経営する松井純典さんに話を聞きました。
(山小屋を経営する松井純典さん)
「いろんな高山植物といって、シモツケソウというのが一番多かったんですけど、年々減ってますね。一番いい時は本当に足の踏み場もないくらいびしっと花がありました。それが温暖化のせいもあるし、シカが年々増えているので、どうしても食べられてしまって」
約20年前の夏に伊吹山の山頂で撮影された写真では、赤いシモツケソウや紫のクガイソウなどが咲き誇り、一面花畑が広がっています。
しかし、去年の夏に撮影された伊吹山の山頂の写真では、花畑はなくなり、青々とした草が一面生い茂っています。
(山小屋を経営する松井純典さん)
「昔の私からしたら泣けるほど寂しいね。タマガワホトトギスとかね、もうここだけ。ほとんどここだけ。ドライブウェイの方に一面あったのもほとんどないですもん。それも全部シカに食われた」
温暖化の影響で雪が減り、シカの活動域が山頂へと拡大。10年程前から被害が出始めたといいます。伊吹山にはイブキトリカブトといった希少な花など約1300種の植物が自生していて、2003年には国の天然記念物にも指定されています。花をシカから守ろうと、地元の滋賀・米原市や滋賀県、保全団体などが協力して、防護柵を設置するなど対策が取られてきました。
しかし、午後5時ごろ、取材班が山頂付近を歩くとすぐにシカと遭遇。すでに防護柵の中に侵入していました。
(記者リポート)
「午後5時前の伊吹山山頂付近です。シカが草を食べています。防護柵の中です」
(記者リポート)
「シカが網を食べています。いじくっていますね」
何とかして防護柵の中にある花を食べようと、力づくで壊したり、網を噛み切って侵入するシカもいるといいます。
(山小屋を経営する松井純典さん)
「夜に来てください。この周りに20~30頭、びしっと出てきますから。毎晩」