甘利さんも歌っていた...そもそも「マイナンバー」とは?改めて解説

(甘利明 社会保障・税一体改革担当相・当時)
「私~以外私じゃないの~ あたりまえだけどね だ・か・ら マイナンバーカード」

国民ひとりひとりに番号を割り振り、年金などの社会保障給付や納税に使用するため始まった「マイナンバー制度」。そのマイナンバーが記載された、ICチップ付きカードで、任意で持つことができるのが「マイナンバーカード」です。

デジタル化を進めたい政府は、交付が始まった2016年以降、マイナカードの普及に力を入れてきました。新しく申請した人に最大20000円分のマイナポイントを付与するなど、自治体と一体となり取得を呼びかけました。

(伊原木隆太 岡山県知事)
「これができるかどうかが、日本のDXが進むかどうかの分かれ目になる」

(河野太郎デジタル大臣)
「転職、就職、退職の度に、いま保険証が切り替わらなければならない。そうしたことが必要なくなりますので、利便性は上がってくるだろうと思います」

気付けばマイナンバーカードは「実質、義務化」に

来年秋までに、現在使われている健康保険証を原則廃止し、マイナカードと一体化する方針が示され、先月正式に法律が可決されました。「実質、義務化」ともいえる状況に街の人は。

「財布の中がすっきりするかな」
「任意任意と言いながら、国に全てを管理されてしまうのかなって」

そんな中、マイナカードを巡るトラブルが全国で相次ぎます。

(岸田文雄総理)
「政府をあげて、コロナ対応並みの臨戦態勢で、信頼を1日も早く回復するべく」

一体化された健康保険証に、別の人の情報が登録されていた、公金受取口座に他人の口座が登録されていた、などのトラブルが多発します。主な原因は「事務作業などの人的ミス」だとされています。

なぜ「マイナンバーカードのトラブル」は続発?専門家は

マイナンバー制度に関する研究を行っている専門家は「一連のトラブルについて、ある程度は予測がついたのでは」と話します。

(名古屋大学大学院 稲葉一将 教授)
「元々日本は、サービスの主体がバラバラで別々でやっていたところに『1枚のカードで共通の本人確認にしよう』ということで、情報をくっつけなければならない、従来の事務処理と全く違うことをするわけで、それは間違いがない方が不思議。それは困るという意志表示で返納しているのかなと」

政府は、来年秋に向けて情報の総点検を行うとしていますが、稲葉教授は、むしろ「健康保険証とマイナカードの一体化」などの決定が問題を大きくしていると指摘します。

(稲葉 一将 教授)
「便利だと思ってとりたい人はどうぞ、それほど手続きしない人はまあいらないかな、という制度のつくりになっているのに、ほぼ全員が利用する保険証に入れていくというのは合わないわけです。前提が違うというか、それは困るという意思表示で返納しているのかなと」

(マイナンバーカードを返納した浜田健さん)
「任意と言いながら、強制するようなことをどんどん外堀を固めていくようなことってやっぱり『何かおかしいんだろうな』って」

【スタジオ解説】
全国で起きているトラブルは、既に1人1人に割り振られているマイナンバーを、健康保険証などの情報とひも付ける際のミスなので、マイナカードを返納してもシステム上は情報が残ったままです。情報流出のリスクが減るわけではありません。

それでも「自主返納者がいる」という状況について稲葉教授は「トラブルへの不安はあると思うが、制度そのものへの不信感も大きいのでは」と話しています。