マイナンバーカードを自ら返納する「自主返納」が、いま全国的に相次いでいるといいます。岡山・香川でも自主返納に踏み切った人がいました。その背景にはいったい何があるのでしょうか?深掘りしました。

マイナンバーを「自主返納」した人 その理由は?

(マイナンバーカードを返納した浜田健さん)
「マイナンバーカードは返納しました。『返納する』って言ったら、役所の人にキョトンとされましたけど」

岡山県赤磐市で整体院を営む、浜田健さんです。今年3月、マイナンバーカードを市役所で返納しました。きっかけは、赤磐市にも近い岡山県備前市が進めようとしていた政策です。「マイナンバーカードの取得を、給食費などを無償とすることの条件」とするものでした。

(マイナンバーカードを返納した浜田健さん)
「マイナンバーカードって任意なんで、持っていようが持っていまいがそれが『子どもが平等にならない』っていうのはおかしいなと思って。こんな差別を生むカードいらないって、すぐに返した次第です」

備前市はその後方針を転換し、マイナンバーカードの取得を条件とするのをやめました。

トラブル続出!マイナンバーカードへの「不信感」も続々と

一方で、その後全国で明らかになるトラブル。浜田さんがもともと抱いていた不信感は募るばかりです。

(マイナンバーカードを返納した浜田健さん)
「トラブルが続出して個人情報が漏えいしている中で、何でここまで急いでやるのか、誰のため何のため、なぜこのマイナンバーカードが必要なのか」

【スタジオ解説】
ー「制度への不信感」や「マイナンバーカードに疑問」ということで、自主返納されたということなんですね。

今回、RSKでは岡山・香川の全市町村に4月から6月までの自主返納数を問い合わせました。

河野太郎デジタル相「返納は微々たる数」一方で72%が「不安だ」

岡山県でRSKの取材に対し回答したのは、【画像】にあるこちらの市町村です。あくまで「様々な理由で」ということですが、岡山県全体で、4月の自主返納数は6件、5月は18件、6月には59件にのぼりました。

香川県はすべての市町が回答し、県全体で4月は5件、5月は3件でしたが6月は25件となりました。また先日、市長会見で返納について触れた岡山市と高松市では42件と3件となっています。

ともに自主返納の理由の多くが、「制度への不信感」「個人情報漏えいへの不安」ということでした。このような状況に対し8日、河野太郎デジタル相は「微々たる数だ。あんまり返納、返納と言わない方がいい。変なことに惑わされない方がいい」などと発言しています。

確かに全体の交付枚数からすると、返納に踏み切った人が多いとは言えません。ただ一方で、JNNが先月行った世論調査では、【画像】にあるように「マイナンバーの活用に不安を感じている」という人は、「大いに」と「ある程度」をあわせて72%でした。

(街の人は)
「いま問題となっているけど、今のところはなくても全然気にならない」
「僕は賛成やね。どんどんやるべきです」
「情報流出とかは怖いなあって、管理はしっかりしてほしい」
「便利なところはしっかり使っていきたいと思います。作っただけでは何も」
「今のところは使っていないです。あまり実感がないんでよくわかんないです」

一体なぜこのような状況になったのか、これまでの経緯、そしてマイナンバーの専門家への取材から考えます。