【市から説明を受けた際の映像】
市の担当者「利用者の症状に応じた受診などの対応が遅れたことについて、不適切なケアなのか虐待なのかというなかで、市としては『虐待』ということで認定をさせていただいたところでございます」
市の認定は、美枝さんが医療が必要な状況だったにも関わらず、緊急対応を行わなかったことなどが虐待にあたるとのことだった。
施設は、市の虐待認定をどう受け止めているのか。

施設のコメント「専門医と嘱託医の指示に基づいて適切に対応しました。虐待にあたるような放棄・放任は行っていません。美枝さんをベッドから転落させてしまったことは申し訳ないと思っています」
当時、美枝さんを診察した診療所と施設の嘱託医を取材すると、「診断に問題はない。カルテに書かれてある通り」と回答した。
「ブラックボックス」介護施設での“虐待”10年で約5倍に

高齢者が介護施設の職員などから虐待を受けたとされる件数は、2021年度に全国で739件。この10年で約5倍になり、調査開始以来、過去最多になった。
遠藤医師は、コロナ禍の影響を指摘する。
日本高齢者虐待防止学会 遠藤英俊副理事長
「家族と会う機会がなかった。しょっちゅう家族が毎週来ていたら『ここ打ってこうなっているんです』と言ったと思う。ブラックボックスなのね、今施設って」
美枝さんが亡くなる2か月前、施設側が撮影した映像がある。母・美枝さんの様子を見て福井さんは…
福井さん夫妻「調子が良い顔じゃない。この顔はもう全然…うちらが見たことない顔。顔を見にはなかなか行けなかったんですけど…今こうなってみると、もっともっとしておけばよかったという思いがあります」

市に取材を申し込むと「個別の案件につき応えられない」と回答があった。現在、県は福井さんのケースを調査していて、行政処分の対象となれば施設名が公表される。