ロシアの侵攻 ユリアさん3姉妹の2度目となる避難

2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻した。クリミア半島から北上してきたロシア軍はまもなくユリアさん一家が住むミコライウのすぐ南にある要衝の町へルソンを占領。
ミコライウも砲撃を受け甚大な被害を受けた。一家には防空壕として避難する地下室がない。
空襲警報が鳴ると、窓がない壁に家族が身を寄せて、爆撃されないこと祈るしかなかった。4月上旬になり、ロシア側の攻撃が激しくなり、家の近くまで迫ってきた。
ウクライナ兵がきて30分以内に家を出るよう指示される。ユリアさんはウクライナ軍にいる婚約者ウラディスラフさんから「地下室がないのだから早く逃げなければだめだ。とにかく安全な国外に逃げてくれ」と懇願された。
差し迫った状況に里親のリディアさんは放心状態になってしまう。そんな中で家族を率先して引っ張ったのがユリアさんだった。
呆然と立ち尽くすリディアさんに「お母さん、すぐに荷物をまとめて、30分以内に家を出よう」と促し、2人の妹には「この服とこの荷物をリュックに詰めなさい。30分以内にまとめなさい」と、てきぱきと指示する。
リディアさんが夫からのプレゼントなど思い出の品をあれこれ探しているうちに、3姉妹は荷物をまとめて準備を終えていた。
「2度にわたって避難を強いられるあの子たちを思うと不憫でなりませんでしたが、一方で私たちよりも早く準備を整えて、次の生活を見据えている姿を見ると頼もしくも思いました」
リディアさんは3人の娘の成長に驚いた。

ユリアさん一家は西隣にあるモルドバに避難することを決意。
2度にわたる戦災で、3姉妹はウクライナ東部のドネツクから南部ミコライウ、そして隣国モルドバへと再びの避難を余儀なくされた。