同じ痛みを知る婚約者 未来への希望を掴みかけていた…
心の奥底にしまいこんできた感情を吐き出したのを機に、ユリアさんは周囲に少しずつ心を開くようになっていく。
笑顔を見せるようになり、妹を抱っこし、弟とも積極的に遊んでかわいがるようになった。家族や心理カウンセラーの前でも、少しずつ過去の話をできるようになったという。両親を失った孤児が集まるイベントにも参加し、人前で話ができるようになっていった。

大学に進学したユリアさんは孤児のイベントで交流を続けてきた6歳年上のウラディスラフさんと交際を始めるようになった。
ウラディスラフさんは両親を亡くした孤児である。同じ痛みを知るからこそ、家族の大切さを誰よりもわかっていた。
料理が得意なユリアさんは、将来二人で小さな飲食店を開くのが夢だという。二人は結婚の約束をし、未来への希望を掴もうとしていた。