自分のありのままを受け入れる その訓練なしで若者の未来は
マスクを外させるべき、というと、若者の自由を奪い、若者の気持ちを蔑ろにしているようにも聞こえるかもしれない。しかし、若新さんが問題視しているのは、マスクの着脱というよりも、根底にある、ありのままの自分と向き合うことを棚上げしている点だ。

「マスクによって、自分が人と違う顔をしてるということについて、受け入れられなくなることが問題なんです。
僕らはそれぞれ違いを持っていて、ある程度は整形とか化粧とかできるかもしれないけど、個人差を持った存在であることをどこかで受け入れなくてはいけません。
マスクは他人と自分の違いについて一時的に棚上げしておけるかもしれません。でも、どこまでいっても、私たちは生涯、個人差を持ち続けます。その他人との差を向き合えない人生は、僕はつらいと思う。
というのも、自分に自信を持てるかどうかは、自分が社会的に立派になったかどうかよりも、人との違いを受け入れたかどうかに繋がっているからです。みんなとは同じになれない、人とは違う固有の存在である。その違いを受け止められるかどうかってことがすごく大事です。
違いを受け入れないまま大人になっていくと、苦しくなる。全部隠したくなっていく。均一化しようとしていく。他人と違うと思っていることについて、ギリギリまで隠しておこうという感覚になりかねないです」