高齢者の一人暮らしが増え、地域社会とのつながりも薄れる中、身寄りのない方の「孤独死」が増加している。頼れる家族や親族がいない場合、誰に頼ればいいのだろう。そんな不安に寄り添おうと、全国に先駆けて独自の終活支援事業に取り組んでいる神奈川県・横須賀市を取材した。

「私を引き取る人がいません」孤独死した高齢男性からの遺書

幕末以来、海軍の街として発展してきた横須賀市。ここで10年前、あるアパートの一室で当時79歳の男性が誰にも看取られることなく亡くなった。数日後、市職員が遺品整理のため男性の部屋に入ると、ある手紙を見つけたという。それは自分の死後について記した、”最期のメッセージ”だった。

『私し 死亡の時 十五万円しかありませ 火そう 無いん仏にしてもらいせんか 私を引取る人がいません あにとぞお願い致します(原文ママ)』

遺書とも見られるその手紙は、肌着を買ったときについている厚紙を利用して書かれていた。さらによく見ると、『十五万円で』の“で”にバツ印をつけて『十五万円しか』と書き直した形跡がある。どんな思いで書き直したのだろうか。

手紙を見つけた市の職員に当時の状況を聞くと、偶然手にしたお菓子の空き缶に入っていたという。

横須賀市 民生局 福祉こども部 地域福祉課 終活支援センター
特別福祉専門官・主査 北見万幸さん

「枕元のそばに中身が空っぽのような缶があったので、どかそうとしたんですが、なんとなくフタを開けてみたんです。そうしたらこの手紙が入っていました。がんで余命宣告を受けたメモも見つかりました」

「いつ亡くなるかわからない、そのような状況の中、たった一人で必死に葬儀費用を貯めていたんです。生前に相談に応じていればご本人の意思に沿った弔いができたはずでした」

警察庁によると、2024年に自宅において死亡した一人暮らしの人は7万6020人。そのうち8割近い5万8044人が65歳以上の高齢者だったという。

単身の高齢者が増加する中、「おひとりさま」の人生の最期を誰がどう支えるのか。相談や支援体制の構築が全国の自治体で課題となっている。