ロシアの軍事侵攻は“想定外”「12月の衛星写真では威嚇していると思った」

ーーここからはロシアのウクライナ侵攻から考える日本の安全保障とエネルギーについて聞いていきます。本当にウクライナで起きていることは対岸の火事ではないと思うのですが、ロシアが日本に攻め込んでくる可能性はあるのでしょうか?
「極めて低い可能性だと思います。ウクライナと違って日本は日米同盟、安全保障条約を結んでおります。ロシアが日本に対して攻撃をするということは、アメリカも相手にするということですから、ウクライナに単純に攻め込んだ時とは全く状況が違いますので、こういう世の中ですからゼロということはないのかもしれませんが、極めてそういう可能性は低いと考えていいと思います」
ーー河野さんは外務大臣も防衛大臣も経験されてますが、ロシアが今回ウクライナにこのような形で攻め込んでくることは予想されていましたか?
「しておりませんでした。12月に衛星写真を見て、軍事力を使って、正直、威嚇をしているというふうに思っていました。21世紀に戦車が国境を越えて相手の国に流れ込んでくる、あるいはミサイルで民間人が住んでいる住宅地を一方的に攻撃するということが起こるとは正直思っていませんでした。そのためロシアがウクライナに対して威嚇してプレッシャーをかけようとしているのだというふうに思っていました」
ロシアの日本周辺での動き…「断固たる対応を」

ーー最近、日本周辺でのロシアの主な動きです。例えば4月14日に日本海でロシアの潜水艦がミサイルの発射演習を行ったり、4月20日には新型ICBMの発射実験に成功したと発表をしています。さらには、対馬海峡と津軽海峡をロシア海軍の船が航行したということです。国際航路なので船や軍用艦が航行すること自体は違法ではなく問題ないのですが、その前後に何をしてるのかということですよね。ミサイルの発射実験やそういったところが非常に気になるところです。こうしたロシアの動きについてどのような印象を持たれますか?
「2014年にロシアがクリミアを侵略した時には、国際的に日本のリアクションが薄いと言われておりました。しかし、今回はG7、足並みを揃えて、きちんとロシアに対して経済制裁をやっていこうということで、日本は非常にこれを許さないという態度を鮮明にしておりますので、ロシアからしてみると、しゃくに障るという感情は、プーチン大統領は持っていると思います。ですから、日本周辺での動きも少し日本にプレッシャーをかけようとしているというふうに取らなければいけないと思います。しかし日本としてこれを許せば、東アジアでも同じようなことが起きかねないということになりますから、そこは日本としても断固たる対応をとっていかなければならないと思います」
ーーロシアと対等にやり合う上で日ロ関係のキーマンは誰だと思われますか?
「ロシアというより、プーチン大統領ですから、そこはもう、岸田文雄総理がプーチン大統領と話す以外にはないと思います。ただ、日本単独でどうこうというよりは、例えばG7、日米、EUそういう枠組みの中でロシアに対してプレッシャーをかけていくということになるのではないかと思います」
ーーフランスのマクロン大統領やトルコのエルドアン大統領がロシアのプーチン大統領と直接話しました。先日は国連の事務総長も直接話しましたけれども、停戦交渉の進展はありませんでした。岸田総理がプーチン大統領に対して与えられる影響、どれぐらい我々は期待してよいのでしょうか?
「今起きていることは、どちらかというとヨーロッパ側の出来事ですから、EUあるいはトルコというところが中心になって動いている。日本としてはそれを経済制裁という形でバックアップするということになりますので、日本が先頭に立ってなんとかということにはなかなかなりにくいというふうに思います。むしろ日本としては、例えば、中国がこの経済制裁の抜け穴にならないように、きちんと中国と話をする。そういう役割があるのではないかと思います」