■いじめの予防授業 「トリプルチェンジ」とは?

大阪府吹田市の小学校 いじめの予防授業/2021年
“傍観者が変われば、いじめは防ぐことができる”
和久田さんの想いは、一つの教材となって、全国的な広がりを見せている。

大阪府吹田市にある公立の小学校。行われているのは「いじめの予防授業」だ。吹田市では、2020年度から公立のすべての小中学校(計54校)で、和久田さんらが作成した教材「トリプルチェンジ」が使われている。
トリプルチェンジの教材
トリプルチェンジとは、いじめが起きにくい学校を創るために、3つの変化を子どもたちと一緒に起こしていこうとするものだ。1つ目は、間違った考え方や思い込みを正しい知識に変える「考え方を変える」。2つ目は、いじめに直面した時どう対応したらいいのか考え実行する「行動を変える」。3つ目は、全ての人にとって居心地の良い集団を作る「集団を変える」。

それぞれを具体的に見ていくと・・・

▼ファーストチェンジでは「考え方を変える」
「他の子もやっていたから」「これくらいなら傷つかないだろう」など加害者が間違った考え方や思い込みをしていることを「シンキングエラー」という。いじめとは何か、知識を身に着け、これまでの言動を振り返り、「考え方を変える」授業。


▼セカンドチェンジでは「行動を変える」
いじめにあった時あるいは「傍観者」としていじめかもしれない状況を見た時、どんな行動がとれるのかを考える。ここで思い出してほしいのは先ほど紹介した論文、
「“傍観者”が、いじめを止める行動を起こすと約6割のいじめが10秒以内に止まる」だ。
つまり、いじめは「傍観者」の行動に弱い。知識があっても実行できないことを防ぐため、この授業では「行動を変える」ことに焦点があてられる。


▼サードチェンジでは「集団を変える」
全ての人にとって居心地の良い集団とはどんな集団だろう。「ひとりぼっちを作らない」「友達が困っていたら声をかけて助ける」など、個人レベルではなく、いじめのない「集団へと変わっていく」授業。