暴力の日々からの解放 母からの“欲しいものは?”との電話に「恐竜を持ってきて」

一方、ビクトリアさんは、5か月にわたってロシア軍に拘束されていました。
ときには、暴力をふるわれることもあったそうです。

アリサちゃんの母親 ビクトリアさん
「指示に従わない人には罰がありました。非常に厳しかったです。歩くことを禁じられ、いつも体を曲げて走るよう言われました。言われた通りに走らないと、背中を棒で殴られました」

しかし2022年10月、事態は突然動きました。

“捕虜交換”で、ロシアに拘束されていたビクトリアさんを含む女性108人が、ウクライナに帰ってきたのです。

解放当時のビクトリアさん
「本当に嬉しくて、まだ信じられません。前線を通過して、バスに乗るまで、全く信じられませんでした。娘に会いに行きます。すごく会いたいんです」

解放されましたが、すぐにアリサちゃんに会いに行くことはできません。
拘束による心の傷を癒すため、2か月ほどリハビリを受ける必要があったのです。

アリサちゃんの母親 ビクトリアさん
「アリサに『何が欲しい?大きな人形はどう?』と聞いたら『恐竜を持ってきて』だって」

2022年12月、ビクトリアさんは、カバンにおもちゃをたくさん詰め、アリサちゃんのいるポーランドへ向かいますが…

アリサちゃんの母親 ビクトリアさん
「心の底から楽しむことはできません。ずっとウクライナのことを思っています。マリウポリはとても美しい街でした」

街はクリスマスを迎えていました。故郷のマリウポリの街も、いつもなら、人々の笑顔が溢れ、光り輝いていたはずです。

しかし今は、ロシアの支配下にあり、クリスマスツリーと並んで、ロシア国旗が、はためいていました。

1年前のクリスマスには、どんな服を着ようかと、2人でお祝いの準備をしていたことを、ビクトリアさんは思い出しました。