田原総一朗(92)が問う「主体性」

小川キャスター
私がテレビ朝日のアナウンサー時代に、田原さんと共演したのは政治討論番組でした。田原さんには「あなたはどう思うの」と、目の前で行われている討論の感想を必ず求められました。
アナウンサーとして与えられた役割を前に、「自分としてどう思うのか意見を持ちなさい。そしてどう感じるのか、その感覚に正直でありなさい」ということを、繰り返し説いてくれたように思います。
それがこの「主体性」という言葉に繋がっていると感じますし、その原点が戦争体験にあった。そして今改めて、この主体性を持つことの大切さを感じているようでした。

東京大学准教授 斎藤幸平さん
「主体性を持て」と話されていますが、日本は今もなおアメリカの核の傘に守られている。その中で「自分たちの主体性を持とう」とすれば、一歩間違えれば、憲法改正や安全保障をめぐる議論につながり、一気に右派的な方向に傾いてしまう可能性もあります。その可能性について、田原さんにお聞きしたいと思いました。
田原さんは、こうした疑問を考えさせるきっかけを与えてくれる存在なのだと思います。そして、「田原カフェ」はこのような問いを考える場なのではないでしょうか。
私自身、以前「田原カフェ」で講師を務めたことがあります。そこでは、さまざまな若い人達がそれぞれの意見を自由に語っていました。
田原さんは、時に「何とかしろ」と強い言葉で問いかけることもあります。しかし、不思議と押しつけがましさがない。だからこそ、参加者も「違うのではないか」と、素直に言いやすい雰囲気があるんです。
それはある意味、田原さんが自分の答えを押し付けるのではなく、私たち自身に考えさせることで、「主体性を持つ」ということを、田原カフェという場で実践させている。それこそが田原さんのジャーナリズムの「核」であり、「田原イズム」と呼べるものではないでしょうか。
排除しない。まずは相手の意見を受け止める。そのうえで、自分自身の意見を持ち、それを言葉にして議論する。つまり、答えを最初から決めてしまうのではなく、「互いの意見を受け止めるところから議論を始める」ということが大切だと思います。

















