道を正す存在が...メンツのために“大麻隠し“


 少年らに大麻の影が忍び寄る中、道を正す大人の存在が重要となる。一方で、少年らの将来より自分たちのメンツを守ることに精を出す大人もいる。今年2月、大阪の有名私立高校の副校長と生徒指導部長をしていた男性教諭の2人が、大麻取締法違反と証拠隠滅の疑いで書類送検された(その後2人は起訴猶予で不起訴処分)。生徒が校内で所持していた大麻を取り上げ、「学校を守るため」と、警察に提出せずに隠蔽していたという。

 この学校では「複数の生徒が大麻を所持している」との情報をもとに大阪府警が校内を捜索したのは去年10月のこと。任意の取り調べに対し、10数名にものぼる生徒が大麻の吸引を認め、中にはグラウンドやトイレで吸引していた生徒もいたという。

 警察は学校側に「生徒が校内に大麻を持ち込んでいる」状況を伝え、なにかあればすぐ連絡するよう求めていたものの、学校側が生徒から大麻を取り上げて隠蔽したのはそのわずか2日後。取り上げた大麻は、副校長の指示のもと、生徒指導教室や副校長室で2か月間も保管されていたという。

 去年12月に警察が別件の捜査で話を聞いた少年から「大麻を学校に取り上げられた」という話を聞かなければ、事態が明るみになることはなかっただろう。捜査関係者によると、この生徒の保護者は「大麻は警察に届け出る」と学校側から嘘の説明を受けていたという。

 しかし、報道を受けて学校が出したコメントは、論点をすり替えたものだった。

 (学校側のコメント 一部抜粋)
 「一部報道では教員らが大麻リキッドを意図的に隠蔽したとされていますが、教員らによると、保護者に警察への出頭を促した後、大麻リキッドをどう扱っていいかわからずそのまま校内で保管していたもので、決して使用・販売等の不正な目的で保管していたものではないとのことです」

 大麻取締法では、大麻は正当な理由なしに所持してはならないものと定められていて、使用や販売のためなのかどうかは関係ない。大麻を取り上げられた少年の自宅からは別の大麻が見つかっただけに、捜査幹部は「学校が取り上げた時点で警察に連絡していれば少年の再犯を防げた」と指摘している。