被害者にあった“もう1つの顔“『SNS』で大麻を密売


 大麻など違法薬物と関わることは、薬物依存など身体的被害にとどまるものではない。今年2月、大阪府寝屋川市の路上で専門学校に通う男性(当時20)が3人組に背中を刺され殺害された。専門学校生は4月に就職を控えていて、知人らは、「面倒見のいいお兄ちゃんのような存在だった」、「殺されるようなトラブルを抱える人ではない」と口を揃えた。

 ただ実は、彼にはもう一つの“顔“があった。SNSを使って大麻を密売していたのだ。専門学校生を殺害した疑いで逮捕された男3人(10~20代)は、大麻の購入者として専門学校生に接触。夜の路上で待ち合わせをした後3人がかりで襲いかかり、売上金などが入ったとみられるカバンを奪ったという。専門学校生が刺された傷は肺まで達し、即死だったとみられている。

 大麻の密売をしていたからといって殺されなければならない理由は全くない。しかし、もし大麻の密売に手を染めていなければ、彼の人生はこれからも続いていたのではないだろうか。大麻に近づくということは、社会の暗部に足を踏み入れ、自らを危険にさらすことに他ならない。SNSで気軽に大麻と関わることができてしまう今こそ、「絶対に関わってはいけない」というメッセージを発信し続ける必要がある。

 辻本敬詩(MBS報道情報局報道部 大阪府警記者クラブ所属 捜査一課や薬物犯罪などを取材)
 國土愛珠(MBS報道情報局報道部 大阪府警記者クラブ所属 大麻など少年犯罪を取材)