■「強い女性になってほしい…」相談の末、Aさんが選んだのは

鈴木さんに相談したのち、様々な支援を受けながら、Aさんは2020年に女の赤ちゃんを出産した。自分で育てたい。そう思ったが、経済的に困窮するなか、長く続く子育てが本当にできるのか、なにより、子どもの幸せのためには何がいいのか、悩んだという。そして、特別養子縁組制度を利用して、生後4日の娘を子どもに恵まれなかった家族に託す選択をした。
もし相談していなかったら、どうなっていただろう…。そんな気持ちから、自分と同じように予期せぬ妊娠で悩んでいる女性たちに相談をためらわないでほしいと願っている。
Aさん
「私は、相談の電話をしてみたら、一緒に考えようって優しく言ってもらって、いろんな選択肢を教えてもらえました。相談して良かったです。ですので、思いがけない妊娠をして困っている人がいたら、勇気を出して、相談してほしいと思います」
Aさんのスマホには赤ちゃんの写真がたくさん保存されている。その一枚一枚が宝物だ。会うことができない寂しさはもちろんあるが、赤ちゃんにとって最善な選択だったと、赤ちゃんの未来に希望を持っている。
Aさん
「赤ちゃんには、いっぱいご飯を食べて、いっぱい遊んで、いっぱい勉強して、立派な女性になってほしいです。弱くはなってほしくない。強い女性であってほしいです」
Aさんはそう言って、遠くを見つめながら笑った。
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