調査で浮かび上がった四つの“悪質私設応援団”

猪狩は2004年1月6日、山口から次のように切り出された。

「警察の検挙だけでは解決にはなりません。正式な応援団も、恐怖心から萎縮し、取り込まれてしまっています。暴排条項を盛り込んだ球場運営、観戦規則を整備し、口先だけでないことを示す必要があります。12球団、球場が一致団結して統一行動を取ることが何よりも肝要です。しかし、『アンチ巨人』の意識を持つ関係者もいて、これがとても難しい。でもプロ野球全体のためどうしても必要な改革だから、何とかやり遂げたい」(「激突」猪狩俊郎)

猪狩も、まったく同感だった。頭脳明晰で記憶力に優れ、複雑な問題を的確に整理して語る山口の言葉は、深く胸に響いた。

「これこそ、やりがいのある暴力団排除活動だ」

そう感じた猪狩は、全面的に山口を支える決意を固める。以後、相談役となって各地の球場を奔走し、外野席の混乱を自らの目で確かめて回った。

ある日、その外野席で、入場を拒否された私設応援団のメンバーたちに取り囲まれる出来事があった。

「再入場させてくれ!」

声には切迫した怒りと諦念が入り交じり、彼らは異様な執念をむき出しにしていた。

しかし、猪狩は振り返る。

「山口さんは、どんな状況でも一切動じなかった」

調査を進める中で、特に悪質と判断された「私設応援団」が四つ浮かび上がった。

それは、阪神の「中虎連合会」、巨人の「三重巨勝会」「ジャイアンツ東京応援団」「読売応援団名古屋連合会」の四団体であった。