足並みそろわぬプロ野球 「中日ドラゴンズ」「ナゴヤドーム」の抵抗

太田房江は、日本初の女性知事である。
前任の横山ノック知事が「強制わいせつ罪」に問われて辞職したことを受けて行われた、2000年2月の大阪府知事選挙に、自民党などの推薦を受け、初当選を果たした。

通商産業省(当時)の官僚時代には、省内の「中日ドラゴンズ」ファンクラブに所属していたことで知られる。
また大阪府知事就任後は「阪神タイガース」のファンに転向したことを公言するなど、筋金入りのプロ野球好きとして知られていた。

その大阪府は2004年6月、役員の中に禁固刑以上の刑に処せられた者が含まれており、「法定の欠格事由に該当する」と判断し、当該NPO法人について認証を行わない決定を下した。

NPO法人の不認証は、きわめて異例のことだった。

一方で、プロ野球十二球団の足並みは、なおもそろっていなかった。

中日ドラゴンズとナゴヤドームは、「悪質四団体」のうち二団体については排除しない方針を決定。これを受け、地元の「愛知地区協議会」は「球場が平穏を取り戻している」などを理由に、「中虎連合会」の排除解除を求める上申書を正式にNPBへ提出した。

この一連の動きに、猪狩は強い憤りを覚えた。

「何が『平穏を取り戻した』だ。東京地区で山口さんが必死に積み重ねてきた努力の成果に、ただ乗りしただけじゃないか。あまりにも無責任だ」(同書)

猪狩らは、中日球団およびナゴヤドームによる排除解除要請を撤回させるべく、根来コミッショナーに「意見書」を提出した。
あわせて「東京地区協議会」として、「悪質四団体」に対する排除措置を継続する方針を明確に打ち出す。

この判断に呼応し、他の多くの地区協議会も同様に「排除継続」を決定した。

こうして猪狩らは、連日、私設応援団への対応に追われ、常に矢面に立たされることになる。プロ野球界から暴力団を排除する道のりはなお遠く、解決すべき課題は山積していた。

プロ野球の「暴力団排除」に取り組んだ猪狩俊郎弁護士(33期)