「命令文を持ってこい」 29年目の任務解除
終戦から29年。単身、島に渡った鈴木さんは、目撃情報があった場所でキャンプをはじめます。
そして、ただひたすら待ったのです。
鈴木さんに気が付いた小野田さん。4、5日、その動向をさぐったあと、動きだします。

ルバング島から復員した元陸軍少尉 小野田寛郎に関する記録
「銃を持っておれば射殺すればよいと考え、銃に弾を装填し、近づいた」
鈴木さんは、震えながら2度敬礼。そして…
鈴木さん
「僕、日本人です。日本人です!」
小野田さん
「小野田だ」
鈴木さん
「戦争はもう終わっているのです。私と一緒におかえりになりませんか」
小野田さん
「俺をどうしても島から出したいのなら、谷口少佐の命令文を持ってこい」
「命令文があれば投降する」と約束したのです。

その後、鈴木さんが撮影した写真はさっそく日本に送られ、家族が確認。驚きと興奮に包まれます。

弟・滋郎さん
「寛ちゃんに間違いありません」
2日後、上官だった谷口元少佐が現地へ飛びます。そして、小野田さんを前にして命令文を読み上げます。

「参謀部別班命令 全任務を解除」
捜索に参加した大野さんは、小野田さんの気持ちの変化をこう推察します。

捜索隊に通訳として参加 大野拓司さん
「ひとりぼっちになって、いよいよ50才にもなるし心理の変化があったんでしょうね。私は戦っていたんだと。だから親兄弟が来ても帰っていくわけにはいかない。命令を受けて残れと言われたんだから、命令を解除してくれれば私は正々堂々と帰りますよと」
翌日、軍服に身を包んだ小野田さんが、初めてテレビカメラの前に現れました。

ーー今まで一番辛かったことは何ですか?
「戦友を失ったことです」
ーー今まで嬉しかったことは?
「29年間、嬉しかったことは今日の今までありません」
2日後。小野田さんは、30年ぶりに祖国の土を踏みました。スーツを着て、笑顔で手を振ります。両親は、長いこと、この日を待っていました。

母・タマエさん
「寛郎、よう生きて帰ってきてくれた。長い間、ご苦労でございました。えらかったの。ありがとうございました」
その陰で…日本政府に伝えられていた、ある事実とは。

















