京アニ事件の裁判を傍聴 犯罪被害者の思い

 2023年9月、京都アニメーション放火殺人事件の裁判で、伸子さんは傍聴席に座っていた。

 法廷で被害者遺族が声を震わせながら被告の男に質問し、「火をつけるとき、その人に家族がいることを考えましたか」と問う。そうした言葉を目の当たりにして、伸子さんは涙が止まらなくなった。

 裁判のあと、記者が「京都アニメーションの事件と今回の事件には共通点があります。ガソリンを使った点、多数の犠牲者が出た点。どうすれば防げたと思いますか」と質問してきた。

 伸子さんは戸惑った。「なぜそんなことを考えなきゃいけないんだろう」。しかし同時に、「質問されたということは、考える機会を与えられたのだ」とも思った。

 そのとき、伸子さんの中で一つの考えが芽生えた。

 「刑務所って何をしているのかな。更生するって何なんだろう」加害者も被害者も生まないためには、『加害者』の支援をすることが必要なのではないか、と。