カウンセリング専門家との出会い

そんな中で酒井さんは、事件があった校舎が取り壊されることを知る。この時点では、当時何が起きたかさえ知らないのに、現場がなくなってしまうのは困る―。酒井さんは、カウンセリング心理学の専門家・常磐大学の長井進教授に会いに行くことに決めた。長井教授を知ったのは、偶然目にした新聞記事がきっかけだった。
(酒井肇さん)
「長井先生からは、校舎改築や被害者支援の考え方を教えていただきました。そしてどういったことが遺族にとって事件現場の保存が望ましいのか、そういったこともご提案いただきました。のちに長井先生には(小学校の)校舎改築検討委員会に参加していただいたり、メンタルサポートチームに加わっていただいたり、幅広い支援を受けることになります」
さらに酒井さんは、容疑者が不起訴になる可能性もあると知り、法律家から「上申書を書いたり署名活動をした方がいい」と助言を受ける。とはいえ署名活動などどうやって始めていいか分からない。長井教授を経由して犯罪被害者を紹介してもらい署名活動を開始。犯人にふさわしい刑罰を求める署名や学校の安全を求める署名、あわせて80万人以上の支援を受けることができたという。














