どんな人がSNSの政治情報を信頼している?
まず政治情報について、どのような人がどのようなメディアを信頼しているかを知るために、性別や年齢、「保守―革新」イデオロギー、争点への関心との関係を確認する。
日本政治に関する従来の世論対立は、とりわけ安全保障のあり方を念頭に置いた「憲法改正」対「護憲」という「保守―革新」(保革対立・左右対立)軸に象徴されていた。しかし近年の対立軸は、経済停滞に伴って懸念される所得格差の問題、人口の減少・偏在に代表される地域間格差の問題、社会保障制度等を巡る世代間格差の問題、男女間格差の問題、そして外国人受け入れ問題等を巡って、多元的に存在するとも考えられる。
例えば2025年参院選に際して毎日新聞が用意した投票支援ツール「えらぼーと2025」は、有権者の政治的選好を計るために「憲法改正」「日米関係」「消費税率」「社会保障制度」「経済成長と環境保護」「夫婦別姓」「外国人受け入れ」といった争点を扱っていた。そこで保革対立と共に、このような複数の争点を重視するかどうかに注目してみる。
本調査では、新聞・テレビ・SNSの政治情報の各信頼度について、「まったく信頼できない=1」「あまり信頼できない=2」「まあ信頼できる=3」「かなり信頼できる=4」から1つを選んで回答してもらっている。表1に、性別・年代・保守派/革新派・各争点を重視する人別に、3つのメディアに対する信頼度の平均値を示した。

全体としては、新聞>テレビ>SNSの順で政治情報に対する信頼度が高い。そして、新聞やテレビへの信頼度は女性や高齢層で高く、SNS信頼度は若者層において高いことがわかる。また、自分の考えが「革新」と思う人ほど新聞・テレビを、「保守」と思う人ほどSNSを信頼していた。
さらに、いずれの争点についても重視する人は新聞を信頼しているが、地域間格差や男女間格差の問題を重視する人は新聞やテレビ、安全保障問題や外国人受け入れ問題に関心がある人はSNSへの信頼度がやや高くなる傾向もあった。これらは、属性や関心のある争点によって、各情報メディアに対する信頼度が異なることを示唆している。














