《家族も張りつめるような日々…息子と病院を訪ね歩き2年》
そして、不安に心を縛られた息子の行動は、次第にエスカレートしていき、家族を巻き込んでいきました。
強迫性障害の息子を持つ母親
「強迫性障害の診断を受ける前だったので、家族も対応が理解できていない段階だったので、言うことを聞かないと、本人がパニックになって大声出したりするので、それが恐怖だし、かわいそうだし…息子が寝ているとき以外は、こっちも張り詰めているような感じでした」

どうして息子は、こんなにも不安にとらわれるようになったのか。女性は、いくつもの医療機関を、息子を連れて訪ね歩きました。そして2年が経ったのち、ようやく『強迫性障害』と診断されたのです。
《意味がないと分かっていても…理解されない苦しみ》
札幌にあるカウンセリング施設。太田滋春さんは強迫性障害を専門とする、臨床心理士です。
『こころsofa』臨床心理士 太田滋春さん
「強迫症については、あまり理解が得られないので、説得とか説教をされて、本人はそう言われても、頭では分かっていても、自分だって意味がないとか分かっているけれど止められない…と苦しんでいる人が結構います」

ひと月に60人もの当事者が、太田さんのカウンセリング施設を訪れます。患者の割合は人口の2%から4%。発症の多くは20歳前後です。
日常生活の、ふとした行為をきっかけに、押さえようのない不安が生じ、何度も確認を繰り返してしまう。その衝動を引き起こす引き金は、実に様々です。

◇4や9、13といった数字を不吉だと恐れる【縁起恐怖】。
◇必ず左右対称や、いつもの配置でなければ落ち着かない【不完全恐怖】。
◇汚れが取れない気がして体を洗い続ける【不潔恐怖・汚染恐怖】。
◇外出先で誰かを傷つけたのではないか【加害恐怖】。
◇いつもの手順で進めないと悪い事態が起きると思い込む【儀式】など。














