日常のふとしたことから、強い不安に心が囚われてしまう人たちがいます。“強迫性障害”。当事者と家族の声から、回復の道を探ります。
《不安から確認が止められない…就職前の息子が強迫性障害に》
鍵をかけ、何度確認しても不安が消えない。洗っても、洗っても手の汚れが落ちたと思えない。不安を打ち消そうと繰り返すほど自分を追い詰めてしまう―。
『強迫性障害』と呼ばれる、心の病があります。

強迫性障害の息子を持つ母親
「もう誰も治せない。自分を治すことはできないし、一生このままで苦しんでいくなら毎晩殺してくれと毎晩言われました」
就職を控えた春、大学生の息子に異変が現れます。抑えがたい不安に、息子の心が覆われていったのです。
強迫性障害の息子を持つ母親
「外出する前に荷物やポケットに凶器が入っていないかをどうかを確認するんです、全部。すべて確認してからでないと、外に出られない」

強迫性障害の息子を持つ母親
「立ち上がったら外へ出ていって、誰かを加害してしまうかもしれないって言うので…息子は、部屋に座ったまま動けない状態で、窓のそばとか玄関には、絶対に近寄ろうとしなくなりました」
自分はちゃんと部屋に留まっているのか。5分おきに確認しなければ、不安を拭えなくなりました。それだけではありません。
《「自分から目を離さないで…」エスカレートしていく息子の不安》
強迫性障害の息子を持つ母親
「スマホやペン、パソコンを自分の視界に入れる場所にはおかないでくれ…と。例えば脅迫文とか、人に危害を加えるような事件を思わせる書き込みをしてしまうかもしれないという恐怖が、息子の中で、どんどん湧いてきたみたいで…絶対にしないんですけれど」
自分はネット上に、危険な書き込みをしてしまうかもしれない…。そんな不安も抱えるようになっていきました。以前は、明るく元気だったわが子。女性のノートには当時、息子から投げかけられた言葉が綴られていました。
・女性のノートより:
「一緒にいるときに自分から目を離さないでくれ…」
外出を恐れ、部屋に閉じこもり、結局、就職も諦めざるを得なくなりました。
強迫性障害の息子を持つ母親
「自分で何回確認しても納得できないので、私に(凶器が)入ってるか確認してって…“ちゃんと中まで見て!”って言われて。一日中、振り回されている感じですよね」














