参政党「侮るべからずだと思っています」
――石破政権下で衆参の選挙があり、少数与党となりました。選挙の総括はどのようにされていますか?
保守だけれども、よりエッジの効いた政策を訴える、例えば参政党さんのような、今までであれば自民党を支持していた人が、カギカッコつきで「保守的な」ところへいきますよね。自民党に飽き足らない人たちが。そうするとそれだけ自民党の議席は減っていきます。
今までも保守色を強く出した政党というのはあったわけですよね。「たちあがれ日本」とか「次世代の党」とかね。ただ、参政党さんのやり方はちょっと違いますよね。
参政党のやり方は、地方議員を確保し、首長選挙に影響力を持って勢力を拡大していくというもので、かつての自民党のやり方に似ている。それにSNSを駆使するのが乗っかっている。これは侮るべからずだと思っています。
――なぜ自民党は保守のなかでもエクストリームな層(極右)を手放すということになったとお考えですか?
どうでしょう。「保守」と言われるものに偏った時に、「リベラルな」と仮にいうとすれば、そういう層は自民党から離れていくのではないでしょうか。自民党は本当に中道を目指すべきであって、右に偏っても左に偏ってもいけない。
ただ、そういう中道的な政策はなかなかエッジが効かないので、かなり先鋭的な考え方をする政党にある程度は行ってしまう。これはなかなか止めにくいところはあります。「もっと自民党が保守に偏ればいいんだ」という意見もありますが、それが国家のあり方として正しいのかという検証は別途やらないといけません。
自民党派閥の裏金事件「国民が得心するに至っていない」
――選挙で厳しい声が出た要因の一つに「政治とカネ」の問題があります。まず、裏金・不記載問題への対応について、石破政権時代をどう振り返りますか?
不記載だったものをきちんと記載し、収支報告書を訂正するということを、関わった議員たちはみんなやりました。修正もしたし、選挙の洗礼も受けた。不記載が実際にミスだったのか、故意に基づくものだったのかはそれぞれの事情が違うでしょうが、それを明らかにした上で選挙の洗礼を受け、主権者たる国民から議席を頂いたということは、評価されてしかるべきだと思っています。
ただ、なぜ不記載に至ったのか、一体誰が指示をしたんだということに、まだ得心がいっていない国民の方々がおられるのでしょう。司法がきちんと判断を示しているので、我々としてそれ以上のことができるかというと、本当に粘り強く丁寧に国民の皆様にご説明していくことに尽きるのではないでしょうか。
――自民党でしか説明できない部分、例えば旧安倍派の中で還流の仕組みがいつ始まり、誰の指示だったのかという点が宙吊りのまま、個々の議員の選挙の当落という話に矮小化された印象もあります。
国民が得心するに至っていないということです。「誰の指示だったの」ということが未だによく分からない。ただ、そこで「私が指示しました」という人が出てこないのですから。自民党としても可能な限りの調査はしましたが、強制的な捜査権限を持っているわけではありません。
(裏金問題に)関わった方々が公認されない。私も無所属で2回選挙をやったことがあるけど、公認されないって本当にものすごくつらいですよ。そのなかでも、有権者の支持を得てきたということは、一つの評価だと思ってきました。ただ、有権者の方々が得心しておられないということは率直に認めなければいけません。
――各議員や各地方に調査やアンケートへの協力を求めるなど、協力性を担保することは可能だったのではないでしょうか?
そこもできる限りやったつもりですが、「つもり」じゃしょうがない。「全然納得していない」という方が多いので、じゃあどうしますかね、ということはあったと思います。もっとやるべきことはあったのかもしれません。
官房機密費「公開は国益にかなうとも限らない」
――官房機密費について、総理になられてみて、どういった役割を果たし、どういった実態だったのか、語れる範囲でいかがでしょうか?
表に出せない色々なものってあるんですよね。海外の情報とか。それを明らかにしたら、もう二度とそういうことはできなくなります。その使い方は、情報収集やコミュニケーションの作り方であって、明らかにできないから「機密費」なのです。使い方はある程度許容されてしかるべきものだと思います。
――機密費はいずれ公開されるべきだ、検証できる仕組みが欲しいという声についてはどうお考えですか?
何年か経つと明らかになるとなれば、その国との関係はずっと続くわけですから、本当に国益にかなうかというと、必ずしもそうでもないのではないでしょうか。
(国会対策については)言えることと言えないことがあります。世の中はきれいごとだけで動いているわけじゃないですから。ただ、そのお金によって政治の公正性が歪められることがないように、常に使い方には気をつけてきました。














