“後遺症”患者を約200人診察 一人一人と向き合う医師

 こうした複雑な思いを抱える倉田さんを支える人がいます。

 兵庫県宝塚市の病院で働く児玉慎一郎医師です。

 いまは救急や検査の業務とともに、
  ▼コロナ感染症の症状が長引く患者(いわゆる”コロナ後遺症”患者)
  ▼コロナワクチン接種後の体調不良が続く患者(いわゆる"コロナワクチン後遺症”患者)
 を合わせて200人ほど診ています。

コロナワクチン後遺症 Vとスタジオ エンド有-000209668.jpg
 中には体調の問題で宝塚への通院が難しい遠方の患者もいることから、週末を使って17人の患者のもとへ往診しています。車いすに乗らないと外出できない倉田さんも、児玉医師の往診を受けている患者の一人です。

 奈良県内の医療機関では十分な治療を受けられなかったという倉田さん。関西の医療機関を渡り歩き、去年の秋にたどり着いたのが宝塚の児玉医師でした。

「特効薬は無い」それでも…

 児玉医師は血液検査で、倉田さんは神経や免疫の働きなどに関係する「ビタミンD」が欠乏していると診断しました。
 ▼健康な人 30ng/mL以上
 ▼当時の倉田さん 15.4ng/mL

 その後、投薬や食事などでビタミンDを補う治療を行ったところ、ビタミンDの数値とともに倦怠感などの症状が少しずつ改善してきたといいます。

 (児玉慎一郎医師)「特効薬ばーんって、そんなものは無いから。解毒とかそういう概念も無いので。自分を強くするということでこつこつと続けていって、即効性はないけど、半年前と比べたらええわ、1年前と比べたらええわというのを積み重ねていくことが最短距離です」

 十分な治療を受けられず心身ともに追い詰められていた倉田さんにとって、児玉医師は貴重な存在です。

 (倉田麻比子さん)「何かあったらすぐに連絡してきてねといつも言ってくださるし、本当に親身になってくれる先生にはなかなか巡り合えないのでよかったなと思います。他にもしんどい方はたくさんいらっしゃるので申し訳ない気持ちにもなりますが、先生が来てくださるのはありがたいです」