5回目の接種で車いす生活に…困難に直面してきた当事者の声

 倉田さんはもともと看護師として働いていましたが、おととし1月、職場で受けた5回目のワクチン接種後、高熱に倒れ、目が覚めると手足に力が入らなくなっていました。以後、四肢の脱力や倦怠感、頭痛やめまいなど様々な症状が続いています。いまも車いす生活で、仕事は無期限で休職中です。

 厚生労働省の発表によると、新型コロナワクチンの接種後の体調不良について「コロナワクチンとの因果関係が否定されない」として治療費などを給付する「予防接種健康被害救済制度」の対象と認められた事例は、倉田さんを含め10月時点で9330件にのぼっています。しかし、倉田さんは患者の一人として、国はこの問題に十分に向き合っていないと感じています。

 接種直後、体調不良に見舞われた倉田さん。その当初は奈良県内の医療機関を受診しても「原因不明」「治療法なし」などとしてたらい回しにされました。さらに、救済制度に申請するにあたっては体調不良のなか病院の診察記録など膨大な資料を取り寄せる必要に迫られ、心身に大きな負担がかかったといいます。

 同様の困難に直面している患者の声を多く聞いていた倉田さんは、実態を知ってもらおうと厚労省の前でマイクを握りました。

 (倉田麻比子さん)「私はずっと疑問に思っています。国は、医療は、制度は、立場の弱い人のために寄り添うものではなかったのでしょうか?」