「生きがいと言われたので」家族の応援を背に吉報を待つ

村上選手


村上家の長男である裕一郎は中学時代に祖父母から「いずれはみかん農家を継いでほしい」という話をされたことも。それでも大学進学以降は家族みな「好きなことをやりたいようにやれ」と応援してくれるようになった。母方の祖父母は大学のリーグ戦も愛媛から福岡まで毎週応援に駆けつけ、社会人になってからも変わらずその応援は続いている。「特にじいちゃん、ばあちゃんにはプロで活躍している所を見せたい。『生きがい』と言われたので、長く活躍すれば長生きしてくれると思う」と家族の存在こそが村上の原動力だ。

ドラフト候補にまで成長した息子に母・亜由美さんは「一言で言えば信じられません。本当に我が子か?と思うほどです。このように注目されながらこの一年平静な心境で挑む事ができたのか…と気にはなってますが、大会とかで会うといつもの笑顔なので、メンタルも強く成長したなと思います。私たちには計り知れない努力をしてきたと思います」と話した。

大学3年の秋季リーグ戦では亜由美さんの誕生日当日、バックスクリーンに特大ホームランを放ち、ホームランボールというプレゼントを贈ってくれたこともあったそう。「どの球団でも行きたい!プロ野球選手になりたい!という本人の意向を直接聞いたので、裕一郎の努力が報われるのを誰よりも願ってます」と息子の背中を押す亜由美さん。どんな環境でも前を向き、みかん畑で鍛えた強靭な体と心で駆け上がってきたスラッガーが家族の応援を背にプロの世界へ挑む。

■村上裕一郎(むらかみ ゆういちろう)
2001年6月14日生まれ。愛媛・八幡浜市出身。右投右打。身長185cm、体重94㎏。小学2年生でソフトボールを始め、保内中では軟式野球部に所属。宇和島東高校では3年夏に甲子園出場。九州共立大学では3年春に全日本選手権、同秋に明治神宮大会に出場した。ENEOSに入社後は1年目からレギュラーの座を獲得。都市対抗、日本選手権、JABA主要11大会で打率.375、本塁打5、打点11の成績を残し、最多本塁打賞を受賞した。特技は中学3年まで習っていた習字と水泳。好きなみかんの品種は「せとか」。