世界陸上から1か月後の難しいタイミング
それでもプリンセス駅伝は、小林にとって印象に残る試合となっている。
「マラソンに直接つながったわけではありませんが、初めての実業団駅伝で、それもエース区間を任せていただいて、10人を抜くことができました。それは嬉しいことでしたし、そこから徐々に、注目してもらえるようになったレースです。思い入れがある大会になりましたね。嬉しかったと同時にあと3秒で区間賞だったので、嬉しさと悔しさを両方感じる不思議な気持ちも味わいました。これがスポーツの醍醐味なのかな、と感じたことを覚えています」。
そのプリンセス駅伝に、今年はまったく違う立場で臨むことになる。メディアなど世間からは当然、“世界陸上マラソン7位”の選手と見られる。トップ選手たちに思い切り挑むだけだった状況から、自身の実績が上であることを自覚せざるを得ない状況に変わる。スピードも毎回、自己最速レベルが出るわけではない。そのときに調子が良くない、と思わないメンタルになることも重要になる。