交通事故で15歳の長男を亡くした父親が、全国の学校で、事故の悲しみやヘルメットの重要性を伝えています。「遺族は、立ち直ることも乗り越えることもない」息子の死という事実を抱えて生きる遺族が、子どもたちに紡ぐ言葉とは。【前編/後編の前編】

写真が大好きだった長男・大地さん、その日はテストで…

高知市の中学校で講演をしたのは愛媛県松山市在住の渡邉明弘さん。今から11年前の交通事故で、高校1年生の長男・大地さんを亡くしました。

▶渡邉明弘さん
「大地は、小学生の頃から写真を撮るのが好きで、高校では写真部に入り、毎日重いカメラをリュックに入れて学校に行き、海へ行って夕日の写真を撮ったり、学校の畑で花を撮ったり、道端の生き物の写真を撮って楽しんでいました」

写真が大好きだった大地さんが事故に遭ったのは、2014年12月1日のことです。その日はテストだったため、学校は午前中で終わり、大地さんは昼過ぎに自転車で学校から帰宅していました。

家の近くにある交差点で、信号のない横断歩道を渡っている時、木材を積んで時速50キロで走っていたトラックにはねられました。

大地さんは、横断歩道から20m飛ばされて地面で頭を強く打ったといいます。ヘルメットは被っていませんでした。