議論続く「大屋根リング」の活用方法

 もう一つの万博の象徴といえば「大屋根リング」です。関西大学の岡田朋之教授は大屋根リングの特徴について、「全来場者が体験することができて、万博史上でも空前絶後の施設」と評価しています。

 パビリオンが一望できる大屋根リングは、予約不要で自由に登ることができ、全員が“体験”することができます。日本の文化や技術が組み込まれた建築方法で、日陰や雨よけにもなるほか、座って花火を見たり休憩したりできる場所でもあり、さまざま役割を果たしました。

 そんな大屋根リングは今後どう活用されるのか?

 現時点では、北東約200mを大阪市が公園・緑地として管理していく方針です。準用工作物、いわゆる展望台として使う場合は、改修費は約40億円で維持管理費は10年で約15億円かかるということです。
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 そうした中、関西主要大学のトップらは、▽200mよりももっと多く残せないか、▽解体部分に建物をつくり、その中に歩行デッキを確保し1周回遊を可能に、▽入場料で財源確保も、という提言を行いました。

 この提言について大阪市の担当者に話を聞くと、▽200m以上残すのはスケジュールが決まりつつある中、実務的に考えても今からは不可能、▽解体部分に建物や歩行デッキをつくる提言については、来年春から募集する跡地の開発業者次第という答えが返ってきました。