184日間にわたって開催された「大阪・関西万博」。閉幕に伴い一部の建造物を除きパビリオンなどは姿を消します。
これから重要になるのが、記憶を継承するレガシーです。これまで万博はさまざまなレガシーを残していて、今回の万博も大屋根リングや一部のパビリオンは姿や場所を変え残ることが決まっていますが、未来に何が残るのでしょうか。
万博に詳しい大阪公立大学の橋爪紳也特別教授や、万博研究者の関西大学の岡田朋之教授への取材も交えお伝えします。
万博をきっかけに広がる試みや技術も“レガシー”

まずは、万博の閉幕後も残ることが決定しているものについてみていきます。
▼オランダ館
・淡路島に建物まるごと移設予定
・人材派遣のパソナが再利用
▼ルクセンブルク館
・建物は大阪府交野市の子育て施設へ
・基礎部分はネスタリゾート神戸が再利用
▼ウーマンズパビリオン(ドバイ万博・日本館を再利用)
・2027年 横浜・国際園芸博覧会に再々利用
レガシーをどうしていくかを考える際、パビリオンの建物や大屋根リングをどう活用するかという議論に終始しがちですが、11年前から大阪・関西万博に関わっている大阪公立大学の橋爪紳也特別教授は「万博をきっかけに世の中に広がる試みや技術があれば、それも万博のレガシー」と話します。
![]()
試みや技術という観点でいうと、世界で初めてのカーボンファイバー建築である「ブルーオーシャン・ドーム」が例として挙げられます。
飛行機や車などに使用されるもので、素材自体が真新しいわけではありませんが、これを用いて建築物をつくることが新しい試みだということです。
価格は高いですが、鉄と比べて強度は4倍でも重さは5分の1。そのため職人は作業が楽になり、使用する杭も減らすこともできるということです。今後、軽量化が求められる月面建築などの分野でも活用されていくといわれている技術が、万博で試されたといえます。
ブルーオーシャン・ドームはモルディブへの移設が決定しています。














