インタビューゾーンに現れた寺田は、「私の第一線を退くというそれだけのために、こんなにたくさんの仲間たちが集まってくれたことにとてもビックリしておりまして、ホントにうれしい」と笑顔を見せたかと思えば、「そういう存在になれたっていうのは、(陸上競技に)戻ってきた一番のうれしさだし、意味があったことなのかな」と、涙ながらに語った。
一度は引退したものの2019年に陸上競技に復帰し、その年の9月に12秒97の日本新記録を樹立、日本女子100mハードル初の13秒台の壁を突破し、この種目を牽引してきた寺田。21年には12秒96、12秒87と自身の持つ日本記録を2度更新し、東京五輪にも初出場した。22年4月には青木益未が12秒86、同年7月の世界陸上オレゴンで福部真子が12秒82をマーク、後輩たちが日本記録を塗り替えていった。現在では多くの選手が12秒台をマークするなどハードル界のレベルアップに、寺田の存在が大きく寄与した。
今年4月に第一線からは退くことを表明した寺田。「私らしく涙あり笑いありの陸上人生でもあり、自分の人生でもあったと思うので、それがこの競技で表せたっていうのは、すごく良かったんじゃないかなと思っています」。今季ラストレースを走り終えた寺田は、晴れやかな表情で、そう語った。