解党出直しは果たせるか 「政治とカネ」問題も

高柳キャスター:
所信表明の段階では、具体的なものが見えてきません。総裁選のどこに注目するべきなのでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーターの星浩さんは、「何を言ったかよりも、何を言わなかったかに注目すべき」だといいます。

5人の候補者が言わなかったのは「政治とカネ」問題です。これは、参院選の総括で“自民党離れ”の要因とされていた非常に重要なことです。

そして23日の会見では、「政治とカネ」の問題について質問がありました。5人の回答の中で一番目立ったのは「適材適所」という言葉です。

【「政治とカネ」の問題について】
23日の会見
Q.裏金事件に関与した議員の要職起用について

▼小林鷹之氏
党内で処分、選挙で当選
「そのことを踏まえ、人事の適材適所」

▼茂木敏充氏
一度は失敗したが…
「活躍し国民の負託に応えることが重要」

▼林芳正氏
党内で処分され、選挙で当選
「これを踏まえて、人事は適材適所」

▼高市早苗氏
党内で処分され、選挙で当選
「適材適所で力を発揮してもらう」

▼小泉進次郎氏
説明責任を果たしている事など前提
「適切に判断」

TBS報道局 政治部 岩田 部長:
22日の所信表明は一方的に話すだけでしたので、あえて自分たちから「政治とカネ」のことに触れたくなかったという状況でしたが、今回は記者会見ですから、質問が出ることによってこうしたテーマになりました。

その中で「裏金事件に関与した議員の要職起用について」の質問では、基本的に党内での処分も終わっていて、その後の選挙で当選しているため適材適所で活躍してもらいたいという話になっています。

自民党が参議院選挙に敗北した総括の文書を作りましたが、その中で「政治とカネを巡る不祥事で信頼を失った」と明記されていて、国民の多くは引き続き十分に納得していない厳しい現実があるとしています。

また、この問題が「引き続き自民党に対する不信の底流(底に流れている問題)であることを厳しく自覚し、猛省しなければいけない」とも書いてあります。

そのため総裁選を通じて、各候補が「政治とカネ」の問題を改めてどう受け止めて、これからどう考えていくかは、きちんと話し合った方がいいと思います。

岸谷蘭丸さん:
なぜみんな口裏を合わせたように「適材適所」という同じことを言っているのでしょうか。政治的な言い方があるものなのでしょうか。

TBS報道局 政治部 岩田夏弥 部長:
人材の登用というと「適材適所」は、よく政治の中では使われる言葉です。短い言葉で、それぞれの方が特徴、能力を持っているので、活かせるポジションについてくださいという意味で使いやすい言葉です。

それと同時に、適材適所と言えば、聞いた側も「適材適所の中でどこかで役割を果たせるかな」と思うことができます。便利な言葉ということなんでしょうね。

岸谷蘭丸さん:
「適材適所」というと、各方面に一生懸命、配慮しているのかなという感じに見えてしまいます。

TBS報道局 政治部 岩田夏弥 部長:
総裁選では議員の投票があるわけですから、それぞれの議員に一票を自分にも入れて欲しいという気持ちがある中での発言ではありますよね。

井上貴博キャスター:
今回が少数与党であることや、石破さんを見ていても仲間がいないとやりたいことがあっても実現できないところがあって、きっと各候補者は今やりたいことを発言するよりも、「仲間を増やしたい」「票をください」という下心があまりに出てきてしまっている気がします。

さらに総裁選は、我々は票を投じられません。そこに、もどかしさと冷めた目で見てしまいます。

また、候補者たちは「解党的出直し」と話していたのに、政治とカネの問題について聞いても、解党的に全く見えないのですが…

TBS報道局 政治部 岩田夏弥 部長:
10月4日まで、まだ期日があるので、そういう疑問が出てきたりします。

残りの時間で、各候補者や自民党は、何をどれだけ真剣に説明しなくてはいけないのか。その辺りのキャッチボールといいますか、自民党の方たちも毎日同じことを言えばいいわけではなく、新しく何を言っていくのかがテーマになっていきます。

10月4日まではしっかり見ていかないといけないと思います。

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〈プロフィール〉
岩田夏弥
TBS報道局 政治部長 元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当

岸谷蘭丸さん
イタリア ボッコーニ大学在学 24歳
岸谷五朗と岸谷香の長男
海外大受験塾「MMBH」設立
教育・多様性などを発信