5人が立候補して論戦が始まった自民党総裁選ですが、候補者が独自色を薄めるなど慎重な出だしとなっています。前回の総裁選と何が違うのでしょうか?
少数与党で野党を意識 現実的な総裁選になるか
高柳光希キャスター:
9月22日に告示された自民党総裁選ですが、“これまでの総裁選とは違う”ということを押さえておきます。

これまでの総裁選は、自民党議員と自民党員に配慮する必要がありました。ただ、今回は少数与党なので野党と連携する必要があります。
野党との連携が見えないと、議員・党員票を逃してしまう可能性があり、「自民党議員」「自民党員」にあわせて「野党」にも配慮をしなければならない、という背景があります。

候補者5人の所信表明の発言を、AIで分析しました。それぞれの発言で多かったものが大きな文字になっています。それぞれの文字を見てみると、抽象度が高い所信表明となりました。

それに対して、野党からはこうした声があがっています。
▼立憲民主党・安住淳幹事長
「お行儀よく、色んなお話してるから逆につまらない」
▼国民民主党・玉木雄一郎代表
「もう少し具体的な、スピーディーな策を語ってもらいたい」
野党の配慮なのか、具体的な政策はここまで見えていません。

TBS報道局 政治部 岩田夏弥 部長:
これまでの自民党総裁選は、総裁になれば自動的に総理大臣になるという形でした。総裁選に出て「自分はこういう国にしたい」などと、大きな夢や理念・理想を語って、それを戦わせることが通例でした。
しかし、今回は少数与党なので総裁になっても総理になれるかは分かりません。野党とどうやって協力できるのかも考えた上で話をしないといけないので、どうしても、現実的なテーマになってしまいます。

実業家・インフルエンサー 岸谷蘭丸さん:
例えば、今までの総裁選では、どんなことが話されていたのですか?
TBS報道局 政治部 岩田 部長:
例えば、安倍さんであれば「日本を世界の中心で輝く国にしたい」と抽象的ではありますが、安倍さんの理念やイメージを訴えたりしていました。
今回の総裁選では、どうしてもそういう理念や夢よりも、現実の話が前に出てしまっています。
また、7月20日の参議院選挙から2か月経っています。参議院選挙のときに「物価高対策」に対して、国民が「こうして欲しい」という形で1票を入れて投票率も上がったのに、何も現実的に進んでいません。
その中で、今度、総裁になった方は、一刻も早く野党と協力して、物価高の対策を1つでも実現しないと、「自民党は何をやっているんだ」ということになりかねません。
「物価高をどうするか」「野党とどう協力するか」。そこが最大の焦点になっていて、大きな話というよりも現実的な総裁選になるということなのでしょう。