なぜ「フルスペック型」? 5人の候補“強み”“弱み”を徹底分析

石破茂首相の突然の辞任表明を受け、いよいよ自民党総裁選の号砲が上がった。総裁選は「フルスペック型」での実施が決定し、国会議員票295票、党員・党友票295票の合計590票で争われることになる。告示は9月22日、投開票は10月4日の日程だ。

「世間がしらけ切っている中でコンパクトにやったほうがいいという意見は党執行部の中でもあった」と長田記者は話す。しかし、「総裁選の前倒し署名活動をしている中で、都道府県連にも意思確認をしていた。そういう経緯の中でコンパクトで開催したら地元の理解は得られない」との声が強く、フルスペック型が採用された。ただし「盛り上げないように」「淡々と粛々と」進める方針だという。

各候補の“強み”と“弱み”について、候補ごとに解説する。

■高市早苗 前経済安保大臣

【強み】
保守政治家として根強い人気があり、国民民主党や参政党に流れた保守票を取り戻せるという期待感がある。「積極財政」を掲げており、高市総理になれば「株価上昇」の期待感も。「女性初」のインパクトは大きく、刷新感もある。選挙の顔にもなり得る。

【弱み】
「右」のイメージが強く、公明党との関係が課題。公明党・斉藤鉄夫代表は「保守中道路線の私たちの理念に合った方でなければ、連立政権を組むわけにいかない」と発言。党内に仲間が少なく、野党とのパイプも他の候補と比べて少ない。

■小泉進次郎 農水大臣

【強み】
圧倒的な知名度と発信力を持ち、若返り・刷新感がある。国会議員間での支持も厚い。

【弱み】
農林水産大臣として打ち出す政策が農家や農協に不評で、「地元に呼んでくれるな」「視察に来るな」という声もあるという。党要職などの経験不足や、前回の総裁選の際に外交姿勢について問われ、「カナダのトルドー首相とは同い年」などと発言して失速したように、不安定な発言に対する懸念もある。

■林芳正 官房長官

【強み】
官房長官のほか、外務、農林水産、文部科学など様々な大臣を歴任し、幅広い政策知識と実務能力を持つ。答弁の安定感も抜群。高い外交能力と英語が堪能。参院時代に築いた野党(立憲、維新、国民)とのパイプも強み。

【弱み】
党員票の獲得に課題。自民党の刷新感がなく、国民に対する知名度が他の候補に劣る。

■小林鷹之 元経済安保大臣

【強み】
若いながらも大臣経験があり、答弁能力が高い。刷新感(脱派閥)があり、政策通でもある。

【弱み】
知名度不足で党員票の確保が課題。党の役職経験不足。

■茂木敏充 前幹事長

【強み】
経産大臣・外務大臣、政調会長、選対委員長、幹事長など豊富な経験を持つ。日米貿易交渉などでタフな交渉力を発揮。経済政策に明るく、野党との人脈もある。

【弱み】
知名度の低さ(世論調査で1%台)や刷新感のなさが指摘される。支持の広がりに欠け、派閥色が強い。