総理経験者="キングメーカー"たちの動向は?

自民党総裁選において、重要な要素となるのが3人の総理経験者、いわゆる"キングメーカー"たちの動向だ。参院選の総括文書で「党を一から作り直す覚悟で解党的出直しに取り組む」と宣言した自民党にとって、党内実力者たちの判断が総裁選の行方を大きく左右する。

麻生太郎氏率いる麻生派は、唯一残る主要派閥として注目される。前回の総裁選では高市氏を支持した麻生氏だが、今回はまだ態度を明らかにしていない。「進次郎をやるんじゃないかという声は聞こえてくるものの、進次郎といえば菅さん。思想信条的にも合致しているわけではないので、引き続き取材が必要」と大室記者は話す。「派閥の領袖として勝ち馬に乗らないといけない」という事情もあるという。

岸田文雄前首相については、同じ宏池会出身の林氏を応援するのではないかとの見方があるが、「いま、岸田と林はいい関係性とは言えない」との指摘もある。9月8日に林氏が岸田氏に会いに行った際、岸田氏からは「頑張って」と伝えられたという。注目すべきは、岸田政権時代の懐刀だった木原誠二氏や村井英樹氏、小林史明氏らが宏池会を離れて小泉氏支持に回っていることだ。

菅義偉前首相は小泉氏を強く支持しており、石破首相が辞意を表明する前日も小泉氏と二人で官邸を訪れている。菅氏と小泉氏の関係は極めて近い。

総裁選をめぐっては「フルスペック」で実施する一方で、「盛り上げないように」という執行部の方針もあるという。しかし長田記者は「自民党の再生はもう最後のチャンスだと思うので、各候補はしっかり自分たちの言葉で語ってもらわないといけない」と強調する。「危機感を持ってそれぞれが言葉を語ってほしい」との期待も示した。

また、自民党に対する厳しい目が向けられている状況で、各候補者がどのように「解党的出直し」を実現していくのかという具体策も問われている。特に「政治とカネ」の問題にどう取り組むかも重要な論点となるだろう。

総裁選まであと10日余り。自民党が掲げた「解党的出直し」は実現できるのか。5人の候補者がそれぞれどのようなビジョンと具体策を示し、党内外の支持を集められるかが注目される。