護身用品の所持は銃刀法の規制対象外だが…

 最悪の事態を回避するために行う防犯対策。しかし、護身用品を持ち歩くことは問題ないのでしょうか?川崎弁護士によると、スタンガンや催涙スプレーなどの護身用品は、銃刀法の規制対象外ですが、「軽犯罪法」により正当な理由なく外に持ち歩くことは禁止。正当な理由の判断は状況などで異なるということです。

―――スタンガンや催涙スプレーなどの護身用品、所持の場合と使用の場合での違いは?

 (川崎拓也弁護士)「まず、6cm以上のナイフは銃刀法違反にあたります。スタンガンや催涙スプレーなどは、持っているだけでは犯罪になりますが、正当な理由があれば犯罪にはならない。ただ、仮に正当な理由で持っていたとしても使用した場合、相手に対して暴行罪や傷害罪などが成立する可能性が出てきます。しかし、不審な相手などに対して正当に防衛するのであれば、正当防衛として免責される。それが過剰であれば、過剰防衛として処罰される場合もあります。ややこしいですが、持っているだけでは『軽犯罪法』だと思っていただければいいと思います」

―――もし本人が襲われると思って使用したが、実際は襲われていない、襲うつもりがあるのかどうかも確認できていないとき、どういう判断になるのでしょうか?

 「非常に難しい。犯罪の成立が否定されるときもありますが、極めて稀な状況。正当防衛が成立するときは、攻撃がありそれに相応する反撃ということになる」

 「護身のために持っておくことが犯罪になってしまうなら、皆さん所持できないですよね。それが許されるかどうかは正当な理由の有無で決まってきます。例えば、体格の大きい男性が昼間に人通りの多い場所で催涙スプレーを持っているのは正当な理由か、と言われたらそれはどうかなと。例えば、深夜に女性が1人で歩いていてストーカー被害にあっているということであればスタンガンや催涙スプレーを持っていても正当な理由だと言える。その線引きははっきりしないので、非常に難しい」

―――護身用品を家に置いておくのは?

 「家に護身用品を置いておくのは所持していないので、犯罪にはならない。しかし、その護身用品を持ち帰るとき所持しているのでそれがどういう目的だったのかを客観的にみていく。持っているものの能力によっても変わってきます。非常にジャッジが難しいです」