■連合、共産から板挟み
立民の悩みの種は維新だけではない。1月21日、最大の支持母体である連合は夏の参議院選挙に臨む基本方針の素案をまとめ、傘下の労働組合などに示した。
素案には「目的が大きく異なる政党や団体等と連携・協力する候補者は推薦しない」と記され、共産党との選挙協力をけん制するものだった。夏の参院選に向け、すでに共産党と現場レベルで調整を行っていた議員や候補者たちから悲鳴が上がり、ある幹部は「これでは1人区の選挙協力がままならなくなる」と慌てた様子を見せた。
立民は1月26日、西村幹事長が連合本部を訪れ、連合・清水事務局長と初めての直接会談を行う予定だった。連合・芳野会長の共産党をめぐる発言が波紋を広げているとはいえ、泉執行部が立ち上がって、2か月近く経ってからの初会談となるはずだったが、西村氏が新型コロナの陽性となり、会談は延期となってしまった。立民と連合、トップ同士の意思疎通が十分なのか、党内からも不満と不安の声が出ている。
そんな中、共産党・小池書記局長が1月24日の会見で、立民にプレッシャーを掛けた。
「総選挙から3か月近くが経とうとしております。しかし、参議院選挙の野党の共闘体制の構築に向けた正式な政党間協議は、いまだに始まっておりません。タイムリミットが近づきつつある。立憲民主党に対しては、参議院選挙の選挙協力に向けた正式な政党間協議を速やかに開始することを呼びかけるものであります」
立民のある幹部は「共産、連合とも水面下で調整している」と強調する。しかし共産党幹部は「立民は自分たちのことで手一杯。まったく話し合いが進まない」といらだちを隠さない。立民のある議員は、こう懸念する。
「連合、共産、国民との関係をどうするのか、選挙区調整、候補者の発掘とやることがたくさんあるのに、プライオリティをどこに置いているのかが見えない」
泉執行部にも焦りはある。幹部からは「参院選で負けたら、しっかりと責任を取るつもり」と、すでに悲壮感の漂う発言も出ている。