■“伝統的企業”と“新しい産業”を組み合わせてキャリアを考える時代に

小川キャスター:
とはいえ、転職してもうまくいくかどうかわからない中で、どういう意識で働いていったらいいのか。不安を抱えている人は多いのでは?


成田氏:
日本社会が変わってしまって、みんな多かれ少なかれ不安を感じながら生きていくしかない社会になった。受け入れてしまうのが早いんじゃないかなと思う。

昔の日本社会と今の社会を比べると、いろいろな形で不確実でよくわからないという感じがする。これだけビジネスの環境や技術の環境の流れが早くて、20年経つとトップの企業の顔ぶれも一新してる。そういう世界になってしまって、世界中の人がそういう環境で戦っている。日本人もその例外じゃなくなってしまった。なので、自分だけがつらいわけではなくて、日本人みんなちょっと不安で、人類みんなちょっと不安で、というぐらいに思っておけば、そんなにつらく感じる必要もないんじゃないかなと思います。

小川キャスター:
これから仕事を始めようという就活生や新卒の人はどういう観点で会社選び・仕事選びをしていったらいい?

成田氏:
昔みたいに、その会社に新卒で入ったら運命共同体で何十年もいるという感じじゃないわけですよね。だから、数年で他のキャリアに移っていったり、さらにステップアップしていったりすることが前提となる。そうすると、最初の段階で、その後のキャリアに役に立つような教育や訓練をやってくれるような会社の魅力が増すのかもしれない。そうすると転職市場が増えていって、昔みたいな大企業があって年功序列じゃなくなっているからこそ、教育や訓練の場が整っている企業の魅力が、新卒で就職する場所としては高まっている側面もあるのかな。

最終的にフリーランスになったりスタートアップに入ったり、起業したりする方でも、最初の数年は、結構保守的で伝統的な大企業で働くみたいなスタイルの方も多いと思う。古い日本の大企業から、新しい産業に完全に移行してるというわけではなくて、その2つの組み合わせ方が変わっているという感じ。どちらかを選ぶのではなくて、ライフステージ・キャリアのステージに応じて、うまく小分けにして組み合わせる、みたいな時代になっている。

■“何をやっているのかよくわからない人”を目指せ!

小川キャスター:
成田さんは、先日、女性誌でママたちのお悩み相談までされていて、見ない日はない活躍ぶりですが、働く中で一貫して持ち続けてらっしゃる感覚って何かあるんですか?

成田氏:
僕はそもそも、あまり働きたくないというのと、わかりやすいキャリアとか仕事をできるだけ作らないようにしている。はっきりとカテゴリーがあるものや仕事の名前がついてるものって競争も激しいし、いろいろな人も入ってくる。そうすると人と競争しなくちゃいけなくてつらいんですよね。

自分自身の場合は、できるだけ「何をやってるのかよくわからない人」になって、他の人と競い合わなくてもいいようにしたいと思って、よくわからないことをやってるという感じ。

国山キャスター:
たまに成田さんってどういう人なんだろうってよくわからなくなります(笑)