ドンバス地方の“割譲”問題 ゼレンスキー大統領は「絶対に飲まない」と佐々木氏

 続いて、ルハンシク州とドネツク州で構成される「ドンバス地方」の割譲について。佐々木教授は、ゼレンスキー大統領は割譲は飲めない、飲まないと分析。一方でロシア側は、安全保障で譲歩したから2州は欲しいということです。

 「プーチン大統領がもし停戦、和平合意を成立させたら、ロシア国内で勝利したように見せなくてはいけない。いま、プーチン政権の政敵は右派、もしくは極右勢力なんです。もし安易に妥協してしまったら、これだけロシア人の犠牲を払った戦争でなぜ安易に妥結するのかということで、プーチン政権の基盤を揺るがすかもしれない。そこもトランプ大統領が気づいていて、ロシアが受け入れられる条件を模索しているんだと思います」

 「クリミア半島はロシアの海軍の基地があり、実効支配も10年以上続いているので、ロシアに帰属させたい。プーチン政権は国際的な承認が欲しいとかつて言ったような情報も出ています。ここがまず一つ」

 「そしてドネツク州、ルハンシク州の2州についてはさまざまな情報が出ています。割譲や2州の帰属を求めるということではなく、ウクライナ軍が2州、もしくは2州のうちロシアの侵攻が及んでいない地域から撤退すれば停戦合意をするという情報が出ています」

 「そして、ザポリージャ州、ヘルソン州が今ある前線を中間ラインとして、停戦監視をしていくということになる。帰属・割譲問題はこの3つに分けられます。割譲は非常に厳しい問題で、ゼレンスキー大統領は絶対に飲みませんし、もし飲んだ場合は非常に大きな汚点になると思います」