日本時間の8月19日未明、アメリカのトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が会談しました。トランプ大統領はウクライナが求める安全の保証について、「ヨーロッパが最前線にいるが、われわれも関与する」と発言。その後、ヨーロッパの首脳らを交えた拡大会合を開き、安全の保証の方法などについて話し合いました。
今回の会談の焦点や、今後予想される展開について、ロシアとウクライナの情勢に詳しい大和大学・佐々木正明教授に聞きました。
「口論会談」から5か月あまり…ゼレンスキー大統領に変化

今年2月28日、アメリカのトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領による、いわゆる「口論会談」から振り返ります。
ゼレンスキー大統領はこの会談で「彼(プーチン大統領)は停戦を破った。どんな『外交』を私に求めているんだ」と発言し、これに対してトランプ大統領は「あなたは数百万人の命を賭けてギャンブルをやっている。あなたの振る舞いはこの国に対し無礼だ」と強い言葉で返し、激しい口論となりました。
そこから5か月あまりがたった8月19日未明。再び行われた両者による会談で、ゼレンスキー大統領は「私は変わった」と発言。服装などにも変化が見られました。
―――ゼレンスキー大統領の変化はどういった理由があるんでしょうか?
(佐々木正明教授)「ゼレンスキー大統領の立場になってみますと、このホワイトハウスでのトランプ大統領、もしくはヨーロッパの首脳との拡大会合というのは、政治生命をかけた会談だったと思います」
「ホワイトハウスに入る際も終始笑顔。これは2月の教訓から、二度と繰り返すまいということだったんだと思います。そして服装は黒いスーツでした。2月の会談のときに、トランプ大統領に近い記者から『あなたはスーツじゃないけども失礼じゃないか』と質問を受けたんです。19日の会談でトランプ大統領が、その記者が来ているよとゼレンスキー大統領に伝えると、コメディアンらしく『私は変わったんだよ。ところであなたのスーツは変わってないじゃない』とジョークを言いました。するとドッとわいたんですよ。最初の緊張した瞬間を和やかな雰囲気に変えた、ゼレンスキー大統領のコメディアン、もしくは政治家としての技量。本当に世紀に残る政治パフォーマンスだと思います」
―――会談中にゼレンスキー大統領から繰り返し「サンキュー」という言葉がありましたが、この意図は?
「前回2月の会談のときにヴァンス米副大統領から『アメリカに対して感謝はないのか』という批判を受けた。これに対してゼレンスキー大統領はプーチン大統領寄りのトランプ大統領の姿勢に非常に怒ってしまった。その反省もあったんでしょう。終始『サンキュー』と何度も繰り返してトランプ大統領の気分を高揚させた」
「また、ゼレンスキー大統領はメラニア夫人に対して、手紙をしたためて感謝の書簡を送りました。これはアラスカ会談でメラニア夫人が、ロシアに連れ去られたウクライナの子どもたちを救うようあなたの力で何とかできませんかという手紙を送ったんですね。それに対しての往復書簡というか、お礼をしたところ、これにも非常にトランプ大統領は気を良くして笑顔になったと。これも非常に印象に残るエピソードだと思います」














