ヒバクシャの願いをつなぐプロジェクト事務局 近藤拓也さん:「本当は思い出したくない記憶、ということもあったと思うんですけど、私たちを信頼してというか、私たちに託してくれた思いがあって、それを次の世代にちゃんと伝えなければという思いはあったので」


全96ページに及ぶ冊子。体験者の話をありのまま幅広い世代に伝えようと、可能なものは証言映像も収録しました。

この日、メンバーは完成した冊子を渡すため聞き取りを行った人を訪ねました。


今井和子さん。4歳のときに広島の爆心地からおよそ2キロの母親の実家で被爆しました。

冊子には去年5月に行った聞き取りが載せられています。

「ピカーッというものすごい光がきて、下からドーンと突き上げられました。私の体はふわっと浮き、辺りは真っ暗になりました。真っ暗な中でも、何かが飛んで行っている感覚は残っています。「シャリシャリ」という音もしていました。これはガラスが粉々に割れて、吹き飛んだ音だと思います」

今井さんは冊子を手に取りながら、およそ1年ぶりに再会したメンバーに感謝を伝えました。

4歳のとき広島で被爆した今井和子さん:「広島・長崎のね、私たちの記憶が、85歳、被爆者の平均年齢を超えちゃったので、その記憶がだんだんと薄れていく中で、ついになくなってしまうなという心配があったんですけど、今こうやって記録として継承されているというのはとても安心です」