■北朝鮮から流れ着いたゴミ… 垣間見える“脆弱な経済状況”

海の境界、北方限界線のすぐ南に位置する韓国の島、延坪島(ヨンピョントウ)。

12年前、北朝鮮の砲撃にさらされ、今も緊張状態が続いている。

この島の海岸で、あるものを集める大学教授がいる。

東亜大学 カン・ドンワン教授
「『高麗薬』とあります。製造は2020年8月30日」
「『いちご牛乳』と書いてあるペットボトル。今まで見た北朝鮮のパッケージの中でも特に派手ですね」


教授が収集するのは、北朝鮮から流れ着いたゴミだ。島に月1~2回訪れるという、韓国・釜山の東亜大学のカン・ドンワン教授。漂流物から北朝鮮国内の経済状況を探ろうとしている。



カン・ドンワン教授
「これらの包装紙、プラスチックや瓶などは、ほとんどが石油化学製品で産業と関係があります。プラスチックの強度やビニールの質をみると、とても脆弱なのが確認できます」

色鮮やかなパッケージが増えているものの、原材料からは貧しさが垣間見えると話す。ジュースには砂糖不足を補うためか、キク科の植物から抽出した糖分が使われている。


カン・ドンワン教授
「砂糖の原料や輸入した砂糖があれば、これを使用する必要はありません。北朝鮮の歯磨き粉はだいたい下の部分が切れて見つかることが多いです。これもそう」

ーー使いきったということ?
カン・ドンワン教授
「そうです」

なかには何か所も縫い合わせたサンダルも。

カン・ドンワン教授
「北朝鮮がいつも強調するのが核開発と経済発展を共に進める“並進路線”です。これは矛盾する政策です。核やミサイルを開発する一方、生活資源さえも不足している脆弱な経済状況なのです。結局、一番被害を受けるのは国民です」



北朝鮮はこの2年、コロナの影響もあり、人やモノの往来がほとんど止まり“鎖国状態”になっているのだ。