選挙の争点は「物価高対策」だったのに…なぜ退陣・続投が問われる?
井上キャスター:
石破総理が「辞める」「辞めないか」というよりも、参院選の最大の争点だった物価高対策が進んでいません。皆さんはどうお感じになるでしょうか?
石破総理が「辞める」「辞めない」というのは、自民党内の理論でしかない。一方で、参議院議員選挙の1票で示された民意を得た政策を、本来は先に一刻も早く進めていただきたい気持ちですが、政局ばかりに終始してしまっていますよね。

経済アナリスト 馬渕磨理子さん:
おっしゃる通りですね。野党からは「ガソリン減税」や「所得減税」などが出ていましたが、その話を早く進めてほしいというのが国民の第1の思いだと思います。
加えて、今回の参議院選挙で課題だったのは、成長戦略の議論がほとんどなかったことです。次の衆議院選挙では、国の成長戦略をみんなで議論したいと思っているのに、人事の話か…と思ってしまいます。
井上キャスター:
成長戦略とは、具体的にどんなことですか?
経済アナリスト 馬渕磨理子さん:
今の減税や給付というのは、国内で企業が取るのか、国が取るのか、パイの取り合いになっていて「国全体が成長していくためには何が必要か」という議論は、ほとんどありませんでした。それが一番、今の日本にとっては大事な論点です。
井上キャスター:
政治家の方は、まず政局という考えですか。「政治はそんなに甘い世界じゃない」と一蹴されてしまうのでしょうか?

岩田部長:
選挙が終わって1週間なので、すぐに政策を進めるというのが難しいのも事実だとは思います。
物価高対策を予算も伴って本格的にやるとなると、次は秋の臨時国会で法案を作って、その法案について審議して成立させなければ、本格的な物価高の対策は取れません。
自民党からすると、自民党内の一部の人たちは「それをやるためには、やはり石破総理じゃ無理」「別の方に代わってもらわないと、野党とも話ができないから交代してほしい」という考えだと思います。
逆に野党の中からも「選挙で自公が過半数取れなかったから、石破政権とは協力できない」という声もあがっています。
本格的な物価高対策を実現していく前段階のところで、石破総理が続けられるのか・続けられないのか、というのが今まさに起こっています。石破総理としては「政治空白を作ってはいけない」「責任を果たさなければいけない」という思いで続投する考えを伝えていますが、まだまとまっていないという状態です。
井上キャスター:
与野党ともに政策を実現したいというゴールは一緒だけれども、「あなたでは出来ない」という人もいれば、「私じゃないと政治空白が生まれる」という、いろいろな見方がありますね。
岩田部長:
有権者からしたら「ともかく物価高対策をやってほしい」というのが共通する思いですが、どういうメンバーで、どういう人たちだったら責任を持ってやれるのかで揉めているというか、まだどうなるかが見えてきていないという状況です。
出水キャスター:
いつ頃、落ち着きそうですか。
岩田部長:
参議院選挙の結果の検証を、8月の最後のあたりまでにやると言っているので、そこで森山幹事長がご自身の責任についても明らかにするという話をしています。
そこで、自民党の次の体制がどうなるのかということの一つは出てきます。それでもここから先、1か月あるわけですから、ちょっと長いなという感じがしますね。
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<プロフィール>
馬渕磨理子さん
経済アナリスト
日本金融経済研究所代表理事
“日本一バズる”アナリスト
様々なお金の話をわかりやすく解説
岩田夏弥
TBS報道局 政治部長 元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当