あす16日のフェリーで島に帰ることを決めた悪石島の島民は「いつまでも甘えられない」と複雑な胸の内を明かしました。

(有川和則さん)「(帰島が)また何日、何日と聞くのも嫌」
悪石島で民宿を営む有川和則さん(73)です。今月6日から妻と鹿児島市内のホテルに避難していますが、妻を残して1人、16日のフェリーで島に帰ることを決めました。

本格的な台風シーズンを前に所有する船の管理をすることが目的です。
(悪石島から避難 有川和則さん)「海に浮かべたまま来たので、台風が来たら船ごともっていかれる。1つの財産だからそれも帰るひとつの理由」
島に帰ることを決めたもう1つの理由に、島に残って働く消防団員や発電所の職員などへの思いがありました。
(悪石島から避難 有川和則さん)「(島に残った人は)『心配しないでゆっくり避難してください』と言ってくれるが、いつまでも甘えるわけにはいかない。少しでも元気になったから、帰ってできることをやろうと、恩返しはそれくらい」
ただ、一緒に避難した妻を鹿児島市に残すため思いは複雑です。
(悪石島から避難 有川和則さん)「できれば2人で帰りたかったが、帰ると2人とも無理に早く(島の状況を)元に戻そうとして疲れてしまう。地震の状況によっては(鹿児島市に)帰ってくる。お互い夫婦で別々に生活をするとどっちも心配する」
先が見通せない状況に不安を抱えながら16日、島民の一部は島に帰ります。