“焦る必要ない”交渉のカギは「農産物」
2日には、アメリカとベトナムの関税交渉が合意に至ったとの発表もあった。
<アメリカ>
▼相互関税46%⇒20%
▼ベトナムで積み替えての輸入⇒40%の関税
<ベトナム>
▼輸入品への関税⇒ゼロ
▼ボーイング機50機購入80億ドル(約1兆1000億円)
▼農産品の購入29億ドル
――― これもひどい。ベトナムはアメリカ製品の輸入の関税をゼロ、アメリカは20%に下げてやると。普通は先進国が高くて、途上国の関税を低くするが…。

『明星大学』教授 細川昌彦さん:
「ベトナムにしてみれば、アメリカからの輸入品で打撃を受けるのはそれほどないという判断と、もう一つ大事なのは、ベトナムは他のASEANの国々と競争してる。なのでインドネシア、マレーシア、タイなどよりも、自分たちが先に合意をしたら色んな国が投資してくれるだろうと。その見込みもあると思う」
――― ただこれは特殊な例で、インドは合意が近いと言われたが、報復関税も言い始めている。EUも韓国もうまくいっていない様子だ。
細川さん:
「なので、“日本だけが難航してると自虐的に捉える必要は全くない”。EUの方が大変。トランプ氏は日本は30~35%と言っていたが、EUは50%と言われている。インドも自動車や自動車部品について報復関税という構え。韓国は新政権になってまだベッセント財務長官とも会えていない。そう考えれば“焦る必要はない”」
そして、今後の交渉カギは【農産物】だという。

細川さん:
「グリアUSTR代表も議会の公聴会で農産物だと言っている。トランプ氏にとってもコメが日本の市場の閉鎖性のシンボルになってる。ミニマムアクセスの外枠で、アメリカから7万トン買うというのは10年前のTPPでも合意しているので、それぐらいなら日本の農業が犠牲になるというわけではないと思う。参院選中は無理だとしても、ベッセント財務長官の『ちょっと様子を見ようか』という言葉の重みはそこにあるのではないか」
(BS-TBS『Bizスクエア』2025年7月5日放送より)