過失運転容疑での逮捕「納得できない」
警察は、軽ワゴン車を運転していた元・配送業の高久浩二受刑者(当時68)を現行犯逮捕しましたが、容疑は刑の上限を7年とする「過失運転」でした。
「こんなおかしなことが今の日本であるのかと、非常に怒りを感じました。『悲惨な事件・事故は適正に処罰をして、抑止を働かせなくてはならない』そういった建前論がある裏で、実は危険運転致死傷罪はほとんど適用ができない法律だから、あまり力まないで下さいという雰囲気が実は色濃いと。私はそれがどうしても受け入れられませんでした。普通に青信号の横断歩道を渡っていただけのところに、信号無視の車が突っ込んできて、その瞬間に11歳の娘が死んでいるというすさまじく理不尽な現実が軽んじられていると感じたのです」
被告は現場となった道路を仕事で40年使っていて、使い慣れた道のはずでした。何の罪もない幼い命を奪った代償としては罪が軽いと考えた暁生さんは、事故が「故意」によるものだと訴え、上限が20年となる「危険運転」での起訴を求め、検察に働きかけ続けました。
「危険運転を訴えようと思った原点は、最初に現場に駆けつけた捜査員の方から伝えられた言葉でした。事故のおよそ2か月後に再度調書を取る必要があり、私と妻は初めてお会いしました。その際に捜査員の方がほとんど号泣しながら、『私はもう異動になりこの事件から離れます。私にも小さい娘がいます。悪いのは加害者なのに、交通事故の処分は軽すぎる。この現状を変えられるのはお父さんとお母さんだけです』と泣きながら言われました。娘は交通事故・事件の現状を変えるために生まれてきたのではありません。けれど娘の無念を考えれば、私は危険運転を訴えずにはいられませんでした。この警察官の涙が私の原点でした」