“物価と賃金”好循環「実現すれば180兆円」
また、渡辺さんは「2%の賃金・物価上昇が続けば、政府は“180兆円得をする”」と試算し、それを有効的に使うべきだと話す。

『東京大学』名誉教授 渡辺努さん
「日本は今までは賃金も上がらない、物価も上がらない0%。そこから両方2%に移行するプロセスになるわけだが、仮に完全に移行されたら一つ間違いなく起こるのは“借金をしてる人が得をする”ということ。インフレは借金をしている人に有利。一番借金しているのは政府で【0%から2%のインフレに移行すると180兆円得をする】という試算」
【インフレ税収】=180兆円
※試算の前提
▼政府債務1100兆円(名目)
▼平均残存期間9年
▼金利2%上昇で利払い費2%上昇
▼政府の歳出入2%増加
渡辺さん
「これは3月の経済財政諮問会議でも報告しているが、180兆円も手に入るなら大盤振る舞いしましょうということではなく、2%のインフレ率が定着すればこれだけ財政には利得があるので、財政の観点からしてもやはり2%は定着させるべきだと。今まさに関税絡みで2%の定着が危ぶまれるようになってきている。例えば中小企業は賃上げできないということが起きている。そしたらそこに財政的な手だてをする。その財源を180兆円から取ればいい」
ーー消費税を減税して、見かけの価格を下げるとかそういうことに使うべきではないと
渡辺さん
「消費税減税やガソリンの補助金などは、価格が変わらない社会を作ろうとする努力なので、そうすると2%に向けたモメンタムが生まれているものを殺してしまう。それは生かした上で、生活が苦しい人への支払いに180兆円を使ったら良いのではというアイデア」
(BS-TBS『Bizスクエア』 2025年6月21日放送より)